2024年11月29日 (金)

野菜もの知り百科「イチゴ」(バラ科オランダイチゴ属)

土壌医●藤巻久志

 原則として野菜は草本、果物は木本です。イチゴは、木質化しないバラ科の草本なので、野菜に分類されます。イチゴは果物店でも売られているため、果実的野菜とも呼ばれています。リンゴや桃などもバラ科の果物で、花弁はみんなイチゴと同じ5枚です。
 イチゴの可食部分は花托(かたく)という花の付け根が太ったものです。本当の果実ではないので偽果ともいいます。イチゴの本当の果実は表面の粒々で、その中に種が一つずつ入っています。
 イチゴの旬はクリスマスや正月がある冬だと思っている人が多いですが、季語は初夏です。花は露地栽培では同じバラ科のサクラの開花頃からボツボツと咲き出します。
 イチゴの出荷の最盛期が冬になったのは、ビニールハウスと暖房機の普及によるものです。それまではイチゴの産地といえば、冬の太陽熱を利用する石垣イチゴで有名な静岡県でした。今はほとんどがハウス栽培なので、産地は全国各地にあります。
 日本初の品種は19世紀末に新宿御苑で育成された「福羽(ふくば)」です。昭和時代は米国から導入された「ダナー」と兵庫県農業試験場が育成した「宝交(ほうこう)早生」が主力品種でした。平成時代になると産地独自の育種が進み、より甘くより大きな品種が開発され、栃木県の「女峰」と福岡県の「とよのか」が東西の横綱になりました。
 イチゴは野菜の中ではトップクラスのビタミンCを含んでいます。イチゴを1日5、6粒食べれば風邪の予防になるといわれています。へたを取って長時間水に漬けておくとビタミンCが減少するので、へたを付けたまま短時間で洗いましょう。
 イチゴから出る生ごみはへただけです。追熟や食べ頃の判断の必要もなく、包丁もまな板もいりません。イチゴは甘く適度に酸味があり、彩りと香りも良く、老若男女に最も人気のある「フルーツ」の一つです。

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藤巻 久志(ふじまき ひさし)
野菜研究家、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

お目覚め体操・ 足指で数字書き

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 爽やかに、体に優しい目覚めにするための手足体操第2弾です。
 今回は、足の指で数字を書きます。その日の日付を書くことで、さらに脳に刺激を与えることができます。ポイントは、心臓や脳から遠い指先を小さく動かし、脳の目覚めも意識すること。足がつったり痛みがあったりする場合は、無理をせず中止してください。
 足指体操は、高齢者の転倒リスクを軽減するともいわれます。毎日続けると良いでしょう。不規則な生活は爽やかな目覚めにはつながりません。規則正しい生活習慣も意識しましょう。


足指と足首を動かす

(1)起床後に目を閉じたまま、あおむけの姿勢で行います。腕を胴体から少し離し、足は腰幅より広く開いて爪先を外側に向けます。そのままゆっくりと深い呼吸を3回繰り返します。鼻から吸い、口または鼻から吐きましょう。

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(2)目を軽く開き、小さく足首を動かしながら両足の親指で数字を書きます。数字は何でもよいですが、最初は「12月3日」などと日付を書くと良いでしょう。動かしにくい足の方の親指は数字を逆に書く(鏡文字)と簡単です。

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(3)右膝を曲げて両手で抱え、足首を小さくゆっくり回します。左回し、右回し、それぞれ10回ずつ回します。左足も同様に行います。

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(4)静かに左足を(1)の位置に戻し、同じように深呼吸を3回繰り返します。


ポイント
(3)の動きは速さや回数よりも、足指を意識しながらゆっくり動かすことが大切です。

2024年10月28日 (月)

野菜もの知り百科「ヤーコン」(キク科スマランサス属)

土壌医●藤巻久志


 ヤーコンは南米アンデス原産の芋類で、アンデスポテトの別名があります。ベランダでも10号(30cm)以上の鉢や大型プランターで簡単に栽培できます。草姿が似ているのでキクイモと間違えやすいですが、ヤーコンはスマランサス属、キクイモはヒマワリ属です。
 現在は、植物の分類はゲノム分析によるAPG分類体系が主流になり、ヤーコンはポリムニア属からスマランサス属になりました。昭和時代に出版された植物関係の本は、科名や属名が現在のものと違うことが多くあります。
 品種や天候などによっても違いますが、ヤーコンは地下部に100~200g程度の塊根を10個程度付けます。ダリアやサツマイモに似た形で、生では食べられそうに見えませんが、皮をむき薄く切ってサラダにすると美味です。切り口は空気に触れると褐変してしまうので、酢水などにさらしてから使いましょう。英名がYacon strawberryというように甘みがあり、梨やレンコンのようなシャキシャキとした歯触りです。
 この甘みはフラクトオリゴ糖で、腸内の善玉菌を増やします。コレステロール値の改善や糖尿病の予防効果などが期待できます。フラクトオリゴ糖と、多く含まれる繊維質は便秘解消にも役立ちます。
 塊根はポリフェノールも豊富に含んでいます。ポリフェノールは皮にも多く含まれているので、皮をきんぴらにするのも良いでしょう。果肉のシャキシャキ感は加熱しても楽しめ、豚肉との相性は抜群です。
 葉を乾燥させてお茶にすると血糖値を下げるといわれているため、血糖値が気になる人にもお薦めです。
 まさにヤーコンは健康野菜です。それなのにスーパーの野菜売り場に並ばないのは、外観があまり良くないことと、食べ方が分からないからでしょう。この「野菜もの知り百科」がヤーコン普及の一助になれることを祈っています。

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藤巻 久志(ふじまき ひさし)
野菜研究家、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

お目覚め体操・手足と目でグーパー

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 気温が下がってくると、目が覚めたときに手や足の指がこわばって動かしづらくなった経験はありませんか。原因は、むくみ、冷え、ばね指、ホルモンバランスの乱れ、関節リウマチや膠原(こうげん)病などいろいろと考えられますが、軽く動かしているうちに少しずつ解消されるようでしたら心配ありません。
 今回は、朝、爽やかに目覚めるための体操をご紹介します。心臓から遠い目や指先を小さく動かしていきます。手と足だけでなく目も使って、脳と全身の筋肉を目覚めさせましょう。


手足と目を開いて、閉じて

(1)起床後目を閉じたまま、あおむけの姿勢で行います。腕を胴体から少し離し、足は腰幅より広く開いて爪先を外側に向けます。そのままゆっくりと深い呼吸を3回繰り返します。鼻から吸い、口または鼻から吐きましょう。

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(2)目を閉じたまま、3秒ほどかけて手足の指を軽く握ります。

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(3)目を開き、3秒ほどかけて手足の指をゆっくり伸ばし、パーの形にします。
(1)〜(3)を5回程度、動きがスムーズになるまで繰り返します。

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ポイント
手をパーにするときは、手のひらを上に向けましょう。

2024年9月27日 (金)

富士山の初冠雪

気象予報士●檜山靖洋


 甲府の気象台から、富士山の初冠雪が観測される日は平年10月2日です。初冠雪とは、山頂付近が雪で覆われた状態を麓の気象台から寒候期(10〜3月)に入り初めて確認できることです。山に雪が積もっても、雲に隠れて見えないと初冠雪にはなりません。晴れてきて山頂付近を確認できた日が観測日となります。
 富士山には一年中雪が降ります。そのため、いつがシーズン初めの雪かを判定するための条件があります。山頂の日ごとの平均気温がその年最も高くなった日を境目とし、気温が下がり始めてから初めて山の雪化粧を確認できた日が初冠雪となります。初冠雪の発表後に気温が上がり、その年の最も高い気温を上回った場合、一度発表された初冠雪は取り消され、あらためて気温が下がり始めてから観測します。2021年は9月7日に初冠雪が観測されましたが取り消され、9月26日に初冠雪となりました。一年中雪が降る富士山ならではの条件ですね。

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気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

歩きながらグーパー体操

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 「握力が強い人ほど死亡リスクが低くなる」。世界的に知られている有名な研究があります。もちろん、握力さえ強ければ健康になれるわけではないのですが、握力は体全体の筋肉量の指標になっているようです。筋肉を鍛えることを日々の習慣にしたいものですね。
 今回ご紹介する歩きながらのグーパー体操は、全身運動でありながら、握力が鍛えられて、脳トレにもなります。
 外を出歩くのが気持ちの良い季節です。腕を振りながら、グー、パーの動きをしっかり意識して歩いてみましょう。散歩時間の数分で構いません。続けることで、簡単に健康習慣を手に入れることができますよ。


歩きながら指のグー、パーの動きをはっきりと

【つぼ:労宮(ろうきゅう)】
中指と薬指の間にあり、手を握ると押すことができます。手のひらの中央、しわが最も寄っている場所です。ストレスや血流改善、不眠にも効果があるといわれています。

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(1)背筋を伸ばし、肩、腕の力を抜いて歩きます。このとき、腕をリズミカルに振ります。歩き慣れてきたら、前の手はパーに、後ろの手はグーにします。往復10回行います。

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(2)前の手をグーに、後ろの手はパーにします。往復10回行います。2、3分程度、(1)と(2)を繰り返しましょう。

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ポイント
グーのときはしっかり意識して手を握り、パーのときは指をしっかり伸ばすことを意識して手を開きましょう。

2024年8月29日 (木)

干し野菜を作ってみよう

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美


 キュウリやナスが旬ですね。キュウリはあっという間に大きくなってしまうので、すぐ取らなければなりませんが、あまりに量が多いと食べるのが間に合いません。
 そこで便利なのがキュウリの半干しです。以前にもこのコラムで紹介しましたが、長野県で米や野菜を作っている義父母に教えたところ、おいしいと喜ばれたので、あらためてお伝えします。料理研究家の有元葉子さんの著書『「使いきる。」レシピ』(講談社)で紹介されています。
 キュウリを斜め輪切りにし、ざるなどに並べて庭先やベランダに干しておきます。カラカラになるまで乾かすのではなく、触るとシナッとした感じの半干しです。私は斜め輪切りにしていますが、普通の輪切りや拍子木切りでもOKです。
 半干ししたキュウリを塩もみし、ごま油や砂糖、しょうゆ、酢などであえると一品になり、お酒のつまみにもぴったり。半干しにすると、生で食べるよりさらにかみ応えが増します。私は和風だれで漬けますが、コチュジャンを使って韓国風、オリーブ油やバルサミコ酢を使ってイタリアン風などにアレンジもできるでしょう。
 キュウリは生のまま食べてもいいですし、肉と一緒に炒めるのもいいですね。有元葉子さんは玄米カレーの具材としてもお薦めしています。
 野菜を干す方法はキュウリ以外にも使えます。冬に旬を迎えるダイコンは切り干し大根にできます。先日、冬の間に作っておいた切り干し大根を水で戻し、絞って甘酢漬けにしたら、歯応えのあるサラダになりました。切り干し大根は、煮ると軟らかくなりますが、水で戻すとコリコリしておいしいです。
 冬ならジャガイモ、秋ならキノコ、夏ならズッキーニなど応用可能です。エノキタケは干すとみそ汁の具やだしとして使えます。野菜がたっぷり手に入ったら干し野菜を作ってみませんか。

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食品ロス問題ジャーナリスト
井出 留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。

指を素早く入れ替え反射神経を鍛える(3)

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 反射神経を鍛える体操の3回目です。こぶしの小指側をトントンとたたくことで、動きに弾みが出ます。「トン、トン、トーン。トン、トン、トーン」と声に出しながら行うと良いでしょう。
 慣れてきたら秒針の速度に挑戦。左右に飛び移る指先を見ながら繰り返すと目の老化防止にも役立ちます。気持ち良い程度の強さでたたきながらテンポ良く行いましょう。
 また、小指側の一番出っ張る部分には「後渓(こうけい)」というつぼがあります。腕の血流不良の改善に効果があり、老廃物の排出も促します。頭痛、首や肩凝り、目の疲れなどの解消にもお勧めです。


指先が飛び移るように指を素早く入れ替える

(1)両手を肩の辺りに持ってきて軽く握ります。右手の人さし指を立てて構え、左右のこぶしの小指側を合わせるようにトントンと2回たたきます。視線は右手の人さし指に合わせます。

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(2)3回目で、右手の人さし指を元に戻し、左手の人さし指を立てます。視線も左手の人さし指に合わせます。

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(3)左右のこぶしの小指側をトントンと2回たたきます。視線は左手の人さし指に合わせます。

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(4)3回目で、左手の人さし指を元に戻し、右手の人さし指を立てます。視線も右手の人さし指に合わせます。

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(5)(1)から(4)を5セット繰り返します。

応用
人さし指でスムーズに行えるようになったら、小指でも挑戦してみましょう。

2024年7月29日 (月)

暑い時期こそ、食事からの水分量を増やそう

食育インストラクター●岡村麻純


 暑い時期は、子どもも大人も水分不足が心配です。水分は喉が渇いてから摂取するのでは少し遅いです。喉の渇きを感じてから冷たい飲み物をガブガブ飲んでしまうと、胃にも負担がかかってしまいます。汗をかくこの時期だからこそ、小まめな水分補給が必要です。
 厚生労働省が掲げている「健康のため水を飲もう講座」によると人の体は1日に2・5Lの水が失われているそうです。そのうち体内で作られる水分は0・3L。食事からの摂取が1・0L、つまり残りの1・2L、コップ約6杯分は飲み水から摂取しなければなりません。
 ちなみに現在私は母乳育児中。より水分補給が欠かせないため、1日8回ほどはコップ1杯の水やお茶を飲むように心がけています。
 体格や運動量などにもよりますが、実は子どもも、幼児で1日1・0~1・5L、小学生では1・5~2・0Lの水分補給が必要とされています。さらに子どもの小さな胃を思うと、より小まめに摂取することが望ましいのですが、子どもが意識的に小まめな水分摂取をするのは意外と難しいものです。喉の渇きを感じてから一気飲みをすると吐き戻してしまうこともありますが、それでは余計に体内の水分を失ってしまいます。
 子どもたちには、小まめな水分補給をするよう声かけをするとともに、意識しなくても水分摂取ができるよう食事から気を付けています。お勧めしたいのが、食事から摂取する水分量を増やすことです。1日3食プラスおやつの時間の水分量を増やすだけで、自然と子どもの水分摂取量を増やすことができます。わが家では、食事の際は必ずスープやみそ汁を付けるようにしています。暑い時期こそみそ汁は陰ながら活躍してくれるのです。また、パンよりもご飯の方が水分含量は多いため、米中心の食事にするだけでも水分摂取量は増えます。 

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岡村 麻純(おかむら ますみ)
食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究

指を素早く入れ替え反射神経を鍛える(2)

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 今回は、指の飛び移りと目の動きを使った反射神経のトレーニングに足の動きを加えます。動く部位を増やすことで、反射神経が鍛えられると同時に集中力も高まり、脳トレにも効果があると考えられます。
 反射神経は生まれ持った資質ではなく、トレーニングによって鍛えることができる能力です。繰り返し行うことで反射神経が鍛えられて、いざというときとっさに対応できるようになり、けがや事故の防止につながります。
 いすに座り、指と目の動きと同時に片方の膝を上げる体操です。ゆっくりでいいのでテンポ良く繰り返し行いましょう。


指と目の動きに合わせて足を上げる

(1)いすに深く腰かけ、膝を90度に曲げます。両手を肩の辺りに持ってきてグーに握り、右手の人さし指だけを立てると同時に、右手の人さし指に視線を合わせ、右足の膝を伸ばすイメージで上げていきます。

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(2)右手の人さし指を元に戻すと同時に、左手の人さし指を立て、視線も左指に合わせます。右足を戻し、左足の膝を伸ばすように上げます。(1)(2)を10セット繰り返します。

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ポイント
膝は無理のない範囲で上げましょう。難しければ、足を少し地面から離す程度でもOKです。