2024年9月27日 (金)

富士山の初冠雪

気象予報士●檜山靖洋


 甲府の気象台から、富士山の初冠雪が観測される日は平年10月2日です。初冠雪とは、山頂付近が雪で覆われた状態を麓の気象台から寒候期(10〜3月)に入り初めて確認できることです。山に雪が積もっても、雲に隠れて見えないと初冠雪にはなりません。晴れてきて山頂付近を確認できた日が観測日となります。
 富士山には一年中雪が降ります。そのため、いつがシーズン初めの雪かを判定するための条件があります。山頂の日ごとの平均気温がその年最も高くなった日を境目とし、気温が下がり始めてから初めて山の雪化粧を確認できた日が初冠雪となります。初冠雪の発表後に気温が上がり、その年の最も高い気温を上回った場合、一度発表された初冠雪は取り消され、あらためて気温が下がり始めてから観測します。2021年は9月7日に初冠雪が観測されましたが取り消され、9月26日に初冠雪となりました。一年中雪が降る富士山ならではの条件ですね。

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気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

歩きながらグーパー体操

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 「握力が強い人ほど死亡リスクが低くなる」。世界的に知られている有名な研究があります。もちろん、握力さえ強ければ健康になれるわけではないのですが、握力は体全体の筋肉量の指標になっているようです。筋肉を鍛えることを日々の習慣にしたいものですね。
 今回ご紹介する歩きながらのグーパー体操は、全身運動でありながら、握力が鍛えられて、脳トレにもなります。
 外を出歩くのが気持ちの良い季節です。腕を振りながら、グー、パーの動きをしっかり意識して歩いてみましょう。散歩時間の数分で構いません。続けることで、簡単に健康習慣を手に入れることができますよ。


歩きながら指のグー、パーの動きをはっきりと

【つぼ:労宮(ろうきゅう)】
中指と薬指の間にあり、手を握ると押すことができます。手のひらの中央、しわが最も寄っている場所です。ストレスや血流改善、不眠にも効果があるといわれています。

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(1)背筋を伸ばし、肩、腕の力を抜いて歩きます。このとき、腕をリズミカルに振ります。歩き慣れてきたら、前の手はパーに、後ろの手はグーにします。往復10回行います。

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(2)前の手をグーに、後ろの手はパーにします。往復10回行います。2、3分程度、(1)と(2)を繰り返しましょう。

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ポイント
グーのときはしっかり意識して手を握り、パーのときは指をしっかり伸ばすことを意識して手を開きましょう。

2024年8月29日 (木)

干し野菜を作ってみよう

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美


 キュウリやナスが旬ですね。キュウリはあっという間に大きくなってしまうので、すぐ取らなければなりませんが、あまりに量が多いと食べるのが間に合いません。
 そこで便利なのがキュウリの半干しです。以前にもこのコラムで紹介しましたが、長野県で米や野菜を作っている義父母に教えたところ、おいしいと喜ばれたので、あらためてお伝えします。料理研究家の有元葉子さんの著書『「使いきる。」レシピ』(講談社)で紹介されています。
 キュウリを斜め輪切りにし、ざるなどに並べて庭先やベランダに干しておきます。カラカラになるまで乾かすのではなく、触るとシナッとした感じの半干しです。私は斜め輪切りにしていますが、普通の輪切りや拍子木切りでもOKです。
 半干ししたキュウリを塩もみし、ごま油や砂糖、しょうゆ、酢などであえると一品になり、お酒のつまみにもぴったり。半干しにすると、生で食べるよりさらにかみ応えが増します。私は和風だれで漬けますが、コチュジャンを使って韓国風、オリーブ油やバルサミコ酢を使ってイタリアン風などにアレンジもできるでしょう。
 キュウリは生のまま食べてもいいですし、肉と一緒に炒めるのもいいですね。有元葉子さんは玄米カレーの具材としてもお薦めしています。
 野菜を干す方法はキュウリ以外にも使えます。冬に旬を迎えるダイコンは切り干し大根にできます。先日、冬の間に作っておいた切り干し大根を水で戻し、絞って甘酢漬けにしたら、歯応えのあるサラダになりました。切り干し大根は、煮ると軟らかくなりますが、水で戻すとコリコリしておいしいです。
 冬ならジャガイモ、秋ならキノコ、夏ならズッキーニなど応用可能です。エノキタケは干すとみそ汁の具やだしとして使えます。野菜がたっぷり手に入ったら干し野菜を作ってみませんか。

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食品ロス問題ジャーナリスト
井出 留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。

指を素早く入れ替え反射神経を鍛える(3)

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 反射神経を鍛える体操の3回目です。こぶしの小指側をトントンとたたくことで、動きに弾みが出ます。「トン、トン、トーン。トン、トン、トーン」と声に出しながら行うと良いでしょう。
 慣れてきたら秒針の速度に挑戦。左右に飛び移る指先を見ながら繰り返すと目の老化防止にも役立ちます。気持ち良い程度の強さでたたきながらテンポ良く行いましょう。
 また、小指側の一番出っ張る部分には「後渓(こうけい)」というつぼがあります。腕の血流不良の改善に効果があり、老廃物の排出も促します。頭痛、首や肩凝り、目の疲れなどの解消にもお勧めです。


指先が飛び移るように指を素早く入れ替える

(1)両手を肩の辺りに持ってきて軽く握ります。右手の人さし指を立てて構え、左右のこぶしの小指側を合わせるようにトントンと2回たたきます。視線は右手の人さし指に合わせます。

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(2)3回目で、右手の人さし指を元に戻し、左手の人さし指を立てます。視線も左手の人さし指に合わせます。

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(3)左右のこぶしの小指側をトントンと2回たたきます。視線は左手の人さし指に合わせます。

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(4)3回目で、左手の人さし指を元に戻し、右手の人さし指を立てます。視線も右手の人さし指に合わせます。

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(5)(1)から(4)を5セット繰り返します。

応用
人さし指でスムーズに行えるようになったら、小指でも挑戦してみましょう。

2024年7月29日 (月)

暑い時期こそ、食事からの水分量を増やそう

食育インストラクター●岡村麻純


 暑い時期は、子どもも大人も水分不足が心配です。水分は喉が渇いてから摂取するのでは少し遅いです。喉の渇きを感じてから冷たい飲み物をガブガブ飲んでしまうと、胃にも負担がかかってしまいます。汗をかくこの時期だからこそ、小まめな水分補給が必要です。
 厚生労働省が掲げている「健康のため水を飲もう講座」によると人の体は1日に2・5Lの水が失われているそうです。そのうち体内で作られる水分は0・3L。食事からの摂取が1・0L、つまり残りの1・2L、コップ約6杯分は飲み水から摂取しなければなりません。
 ちなみに現在私は母乳育児中。より水分補給が欠かせないため、1日8回ほどはコップ1杯の水やお茶を飲むように心がけています。
 体格や運動量などにもよりますが、実は子どもも、幼児で1日1・0~1・5L、小学生では1・5~2・0Lの水分補給が必要とされています。さらに子どもの小さな胃を思うと、より小まめに摂取することが望ましいのですが、子どもが意識的に小まめな水分摂取をするのは意外と難しいものです。喉の渇きを感じてから一気飲みをすると吐き戻してしまうこともありますが、それでは余計に体内の水分を失ってしまいます。
 子どもたちには、小まめな水分補給をするよう声かけをするとともに、意識しなくても水分摂取ができるよう食事から気を付けています。お勧めしたいのが、食事から摂取する水分量を増やすことです。1日3食プラスおやつの時間の水分量を増やすだけで、自然と子どもの水分摂取量を増やすことができます。わが家では、食事の際は必ずスープやみそ汁を付けるようにしています。暑い時期こそみそ汁は陰ながら活躍してくれるのです。また、パンよりもご飯の方が水分含量は多いため、米中心の食事にするだけでも水分摂取量は増えます。 

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岡村 麻純(おかむら ますみ)
食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究

指を素早く入れ替え反射神経を鍛える(2)

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 今回は、指の飛び移りと目の動きを使った反射神経のトレーニングに足の動きを加えます。動く部位を増やすことで、反射神経が鍛えられると同時に集中力も高まり、脳トレにも効果があると考えられます。
 反射神経は生まれ持った資質ではなく、トレーニングによって鍛えることができる能力です。繰り返し行うことで反射神経が鍛えられて、いざというときとっさに対応できるようになり、けがや事故の防止につながります。
 いすに座り、指と目の動きと同時に片方の膝を上げる体操です。ゆっくりでいいのでテンポ良く繰り返し行いましょう。


指と目の動きに合わせて足を上げる

(1)いすに深く腰かけ、膝を90度に曲げます。両手を肩の辺りに持ってきてグーに握り、右手の人さし指だけを立てると同時に、右手の人さし指に視線を合わせ、右足の膝を伸ばすイメージで上げていきます。

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(2)右手の人さし指を元に戻すと同時に、左手の人さし指を立て、視線も左指に合わせます。右足を戻し、左足の膝を伸ばすように上げます。(1)(2)を10セット繰り返します。

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ポイント
膝は無理のない範囲で上げましょう。難しければ、足を少し地面から離す程度でもOKです。

2024年6月27日 (木)

野菜もの知り百科 「ジャガイモ(ナス科ナス属)」

土壌医●藤巻久志


 ジャガイモもトマトも、ナス科ナス属です。意外に思うかもしれませんが、花を見ればどちらもナスの花に似ているので納得します。ジャガイモはミニトマトのような実を付けることがあり、その実にはアルカロイドという毒が含まれているので食べられません。
 原産地は南米のアンデス地方です。16世紀にスペインがインカ帝国を征服したことを機に欧州に伝わりました。フランスのルイ16世は救荒作物としてジャガイモを奨励し、王妃のマリー・アントワネットはジャガイモの花を髪に飾りました。
 ジャガイモは野生種を含めると約5000種あり、形も肉色もさまざまです。花色も白や赤などいろいろあります。マリー・アントワネットが愛したジャガイモの花の色は青といわれています。
 19世紀中ごろにアイルランドでジャガイモに疫病がまん延して飢饉(ききん)が起き、ケネディ元大統領やウォルト・ディズニーの祖先が米国に移住しました。一つの作物、一つの品種だけに頼る危険性があらわになった歴史上の大事件です。多様性が大切です。
 同じ作物や品種を作り続けると、それらを好む害虫や病原菌が寄ってきます。特定の微量要素を吸収するため欠乏症も発生します。連作障害です。防ぐには異なる作物を順に繰り返して栽培する輪作が有効です。
 わが国には、16世紀末にオランダ人が長崎に伝えました。ジャワ(現インドネシア)のジャガトラ(現ジャカルタ)経由だったのでジャガトライモと呼ばれ、それが転じてジャガイモになりました。日本で本格的な栽培が始まったのは、明治時代後期に川田龍吉男爵が英国からホクホクとした食感の「男爵薯」を導入してからです。
 大正時代になると煮崩れしにくい「メークイン」が米国から入り、長い間「男爵薯」と二大品種の時代が続きました。今は果皮が紫や赤の品種も続々登場し、トマトやナスと同じく多品種の時代になりました。

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藤巻 久志(ふじまき ひさし)
野菜研究家、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

指を素早く入れ替え反射神経を鍛える

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 転倒防止のためにも、日頃から反射神経は鍛えておきたいものです。反射神経が良いとは、視覚や聴覚などの感覚を受容する感覚神経と、手足や眼球の筋肉を動かす運動神経がスムーズに連係して、とっさの事態に素早く反応できることをいいます。加齢により反射神経は鈍くなっていくため、日頃から鍛えておくことが大切です。
 今回は指の体操をご紹介します。立てた指を素早く左右で入れ替える動きを繰り返し、運動能力の老化を防止します。音楽やリズムに乗って動かすとさらに脳に刺激が入りますし、何人かで一緒に楽しむこともできる体操です。いろいろな場面で使えるので覚えておきましょう。


左右の指を交互に動かす

(1)両手を肩の高さで握り、右手の人さし指を立てます。このとき、立てている右手の人さし指に視線を合わせます。

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(2)右手の人さし指を元に戻すと同時に、左手の人さし指を立てます。視線は立てている左手の人さし指に合わせます。(1)(2)を10セット繰り返します。

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(3)両手をグーに戻してから右手の小指を立てます。視線は立てている右手の小指に合わせます。

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(4)右手の小指を元に戻すと同時に左手の小指を立てます。視線は立てている左手の小指に合わせます。(3)(4)を10セット繰り返します。

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(5)慣れてきたら、両腕の位置を少しずつ外側へずらします。(1)〜(4)を5セット行います。

ポイント
立てた指はしっかり伸ばしましょう。

2024年5月29日 (水)

水神様、竜神様

田んぼソムリエ●林 鷹央


 田んぼの生きものたちには水が必要です。水があるおかげで冬には水鳥が訪れ、サンショウウオやアカガエルが産卵に来ます。春になればミジンコが湧き、水生昆虫やトンボ、小魚たちの餌になります。いろいろな生きものが田んぼに集まり、そこで生まれ、食べ、旅立ち、命が循環しています。生きものが多様だと、さまざまな腸内を通ってきた「うんち」で栄養いっぱいの土ができるから、水田稲作は毎年お米が取れます。
 でも外国へ行くと陸稲(おかぼ)といって、陸地でお米を作っている陸田にも出くわします。例えば、ラオスという東南アジアの陸稲を見てきたときの話です。なぜか陸稲の間にバナナの木が生えています。陸田では稲が栄養を1年で吸い取ってしまい、2年目は収穫量がガタッと減る連作障害が起きてしまいます。だから果実がなるまでに2年かかるバナナを間に植え、米→バナナ→米→バナナと収穫しているのだと。それを見て、水田ってすごいな! 日本は水も土も生きものも豊かなんだ! とあらためてありがたく思いました。だから昔から水源となる山や泉がある場所には水神様、竜神様という水にまつわる神様を祭って、大切に守ってきたのです。
 ソーラーパネルは発電はしますが、命の水を蓄えることはできません。やはり山には木々や森林が必要ではないかと思ってしまいます。


陸稲とバナナが植えられた斜面(ラオス)

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水源となる山の上に建てられた竜神様のほこら

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田んぼソムリエ
林 鷹央(はやし たかお)
三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。

指先ストレッチ&爪先上げで 脳活性化と転倒予防

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 指には脳につながる多くの神経が集まっているため「第二の脳」といわれます。指を動かすことで脳に信号が送られ、この信号が脳の中枢神経を刺激し、思考力や言語力などを鍛えます。
 指先には全身の健康に密接な関係があるつぼも集中しています。離れた指先を合わせる動きは集中力と平衡感覚を鍛えることができ、さまざまな効果が期待できる健康体操といえます。
 今回の体操では爪先も上げることで、すねの筋肉も鍛えられます。年を重ねると敷居や小さな段差につまずきやすくなります。転倒を防ぐ一助にもなりますので、ぜひ楽しみながら覚えてくださいね。


指先に集中!

(1)背筋を伸ばしていすに座り、足の裏を床にしっかり着けます。膝の間はこぶし一つ分隙間を空けます。腕を曲げ、肩の高さで視界に入らない位置まで外に広げて軽く握ります。

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(2)人さし指だけを伸ばし、できるだけ指を見ないようにしながら左右から指先を近づけます。指先に集中して指の腹同士をできるだけ正確に合わせて軽く押して、人さし指の内側のストレッチを行います。同時に、足の爪先を上げます。

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(3)(1)の姿勢に戻り、(1)(2)を10回繰り返します。10回のうち4回以上、指先がピタッと合えば合格です。


【応用】
人さし指での体操に慣れたら、小指でもやってみましょう。

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