2023年10月30日 (月)

田んぼのカラス、森のカラス

田んぼソムリエ●林 鷹央


 誰もが知っているカラス。皆さんの家の近くで聞こえるカラスの鳴き声は「カァ~」ですか? それとも「ガ~」ですか?
 稲刈りが終わり秋から冬に向かう田んぼ。虫たちの鳴き声もやみ、少し寂しさを感じる季節です。
 冬でも見られる生きものといえば鳥たちです。木の葉が落ちて、稲もなくなると鳥たちの姿がよく見えるようになります。田んぼの中をトコトコ歩いて餌を探しているのはハシボソガラス。見晴らしの良い草地を好み、田んぼはお気に入りの餌場です。こちらは「ガ~」としゃがれた声で鳴きます。
 一方で街中でごみを荒らしたり、木々の多い公園でたむろしているのはハシブトガラス。こちらは「カァ~」とクリアな鳴き声です。もともとは森林のカラスなので地面に降りている時間が少なく、歩くのがうまくないため、時々ピョンピョンと跳ねます。ハシボソガラスよりやや大きく、くちばしが太く額が張り出ています。比較的見晴らしの悪い場所を好みます。
 市街地近くの田んぼや公園、森や山が隣接した田んぼなどでは、ハシボソガラスとハシブトガラスの両方が見られます。両者の違いを見分けることができると、地理的条件と一致してくるので、風景を楽しむ上で役に立ちます。ぜひ覚えてみてくださいね!


田んぼを歩くハシボソガラス

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樹上のハシブトガラス

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田んぼソムリエ
林 鷹央(はやし たかお)
三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。

手指の体操で反射神経を鍛える

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 よく耳にする「反射神経」という言葉ですが、実はそういう神経は存在しません。私たちの体には視覚や聴覚などの感覚を受容する感覚神経と、手足や眼球の筋肉を動かす運動神経があり、この二つが連係することでとっさの事態にも素早く反応して対応できているのです。「反射神経が良い」とは、感覚神経→脳→運動神経→筋肉への情報伝達がスムーズで素早いことを指しています。
 反射神経が鈍くなる主な原因は加齢です。高齢者に多いさまざまな事故を防ぐためにも日頃から反射神経を鍛えることが大切です。今回ご紹介する体操を繰り返し行うことで神経が鍛えられます。音楽に合わせて遊び感覚で楽しむのもお勧めです。


タテヨコグーパー体操

STEP1 基本の動き
(1)右肘を立ててグー、左肘を横にしてパーで構えます。

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(2)左肘を立ててグー、右肘を横にしてパーにします。(1)(2)を20回繰り返します。

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STEP2 応用編
スムーズにできるようになったら、立てた方の手をパーに、横にした方の手をグーに変えてみましょう。失敗してもよいので、徐々にスピードアップを図りましょう。

2023年9月28日 (木)

秋の肌荒れ対策

栄養士●吉田理江


 夏が終わり秋が深まるにつれて、肌の不調を感じることはありませんか? 原因は、夏の紫外線による影響でダメージを受けた肌に、乾いた空気が肌の乾燥を進行させるからです。今回は、乾燥肌を改善し、美肌効果が期待できるお薦めの栄養素を三つご紹介します。
■ 脂質
 脂質は体を動かす細胞膜の主成分で、体を動かすエネルギー源になる栄養素です。不足すると肌が乾燥するため、乾燥肌対策には欠かせません。オイル、ナッツなどに含まれている脂質は、取り過ぎると肥満や脂質異常症を引き起こしますが、取り過ぎなければ美肌づくりの味方になる栄養素です。間食にナッツを食べるときは、1日当たり20粒程度(150〜200kcal)を目安に取ると良いでしょう。
■ ビタミンA
 ビタミンAは皮膚の健康をサポートする働きがあるため、美肌づくりには欠かせない栄養素です。パプリカ、トマト、カボチャなどの緑黄色野菜に含まれるベータカロテンは、だいだい色の色素成分で、体内で必要量に応じてビタミンAに変換されます。ベータカロテンは、油と一緒に取ると吸収率が高まるため、油炒めやサラダにドレッシングをかけて食べると良いでしょう。
■ ビタミンB6
 ビタミンB6は、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などのタンパク質の分解、合成を助け、皮膚や粘膜の健康維持に働きます。ニンニク、赤ピーマン、ピスタチオ、マグロ(赤身)、玄米などに含まれており、不足すると肌荒れなどを招くため、秋の肌荒れ対策には欠かせない栄養素です。主食を玄米にしたり、炒め物を作る際にニンニクを加えると手軽に取れるでしょう。
 欠食するとこれらの栄養素が不足しやすくなってしまいます。3食しっかり食べて美しい肌を保ちたいですね。

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栄養士・ダイエットコーチ
吉田 理江(よしだ りえ)
飲食店勤務後、料理研究家のアシスタントを経て独立。栄養指導、健康・ダイエットレシピの作成やコラム執筆、セミナー講師など幅広く活動中。薬膳アドバイザーやアンチエイジング料理プランナーなどの資格も多数取得。

指先体操で脳を活性化

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 今回は、指先の小さな動きの体操をご紹介します。指先を使った体操を繰り返し行うことで、脳の血流はどんどん良くなります。脳の若さを保ち、老化を防ぐためにも頭を使いながら指先を動かしてみましょう。
 手指と足指の動きを合わせることで脳の老化防止効果が抜群! 単純な動きを繰り返すだけではなく、合わせる指先を変える、リズムに緩急をつけるなど、覚えた動きに変化をつけたり、動かす回数を変えたりすると脳の神経細胞の働きをさらに活性化させることができますよ。


指先の動きに変化をつける

STEP1 基本の動き
(1)いすに座り、足を肩幅程度に開きます。両手の親指と人さし指の腹を合わせます。このとき、足の指は何もしません。

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(2)人さし指の第1関節を曲げ、親指で人さし指の爪を押さえます。このとき、足の指はグーの形に曲げます。(1)と(2)を「1、2、1、2……」と声に出しながら交互に20秒間繰り返します。

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STEP2 応用編
スムーズにできるようになったら、(1)のときに足の指をパーの形に広げてみましょう。

2023年8月30日 (水)

温帯低気圧と熱帯低気圧

気象予報士●檜山靖洋


 「台風が温帯低気圧に変わりました」や、「台風が熱帯低気圧に変わりました」という表現、どちらのパターンもあります。
 温帯低気圧と熱帯低気圧の違いは、発達のエネルギーとなる「燃料」です。熱帯低気圧は、熱帯の海から供給される暖かい湿った空気により発達します。熱帯低気圧が発達したものが台風です。温帯低気圧は、暖気と寒気がぶつかることで発達します。温帯低気圧は発達しても名称は変わらず、ニュースや気象情報では単に低気圧と呼ばれます。
 台風が衰えて温帯低気圧になった後に、温帯低気圧として再び発達することがあります。暖かい湿った空気が弱まっても、寒気が入り込んで暖気とぶつかり発達するのです。電気で走っていた車が電池切れになったときにガソリンに切り替えてまた走りだすようなもので、ハイブリッドな低気圧です。このような場合は、台風ではなくなっても、暴風や大雨に警戒が必要です。

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気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

ハンドパワー体操で集中力アップ!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 集中して仕事に取りかかりたいときやここ一番で集中したいときなどには深呼吸や背筋を伸ばすことが多いと思います。そんなとき、同時につぼや神経が多く集中する手も刺激してみましょう。集中力をさらに高めることができます。
 今回は指先に力を込めるハンドパワー体操をご紹介します。指先の末梢(まっしょう)神経を刺激しながら呼吸を整えていきます。左右の指の関節の曲がり具合や力の入れ具合が同じになっているかどうかを意識しながら行うことで、集中力が鍛えられます。
 この体操は小さな動きで行えます。覚えておくと場所を選ばず集中力が高められ、とても役立ちますよ。


指先合わせに集中する

(1)一度息を吐いてから、手のひらを合わせて意識を手に持っていきます。手のひらをしっかり合わせたまま、息を吸いながら両腕が地面と水平になる位置まで下ろします。

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(2)息を吐きながら人さし指、中指、薬指、小指の順に各指10秒ほど指先に力を入れます。指先が反って、第2関節が曲がればOKです。(1)(2)の動きを5回繰り返します。

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ポイント
指に力を入れるときに息を吐き、呼吸と指の動きを連動させます。

2023年7月28日 (金)

夏の不眠症対策

栄養士●吉田理江


 夏になると寝付きが悪い、夜中に何度も目が覚めるなど不眠のお悩みはありませんか? 夏に不眠になる原因は、室温と外気温の温度差により自律神経が乱れ、入眠に必要な体温低下も妨げられるからです。今回は、夏の不眠症対策をご紹介します。
【1】GABAを含む食べ物を取りましょう
 自律神経には体を活発に動かすときに働く交感神経と、体を休めるときに働く副交感神経の2種類があります。発芽玄米、納豆などの発酵食品に含まれるガンマアミノ酪酸(GABA=ギャバ)には、神経の高ぶりを抑え、副交感神経を優位にし、自律神経を整えリラックスさせる働きがあるため、不眠の方にお薦めです。夜ご飯に納豆を取り入れたり、みそ汁を飲むと良いでしょう。
【2】発酵食品・発酵調味料を取りましょう
 睡眠の質を上げるために腸内環境を整えると良いです。発酵食品、発酵調味料に含まれている乳酸菌が腸内の善玉菌の餌になり腸内環境の改善に役立ちます。腸では脳内の神経伝達物質「セロトニン」の9割が作られているため、腸内環境を整えると腸から脳への情報伝達、体内のさまざまな神経伝達に役立ち、自律神経が整うため睡眠の質が上がるでしょう。みそ、しょうゆ、キムチ、ヨーグルトなどに含まれています。おやつにヨーグルトを取り入れるのもお勧めです。
【3】トリプトファンを取りましょう
 睡眠を促すホルモンのメラトニンは、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などのタンパク質、バナナなどに含まれるトリプトファンから作られます。トリプトファンを朝ご飯で取ると入眠を促すメラトニンの分泌が促進され、睡眠の質を上げる効果が期待できます。時間がない朝は、バナナ、またはヨーグルトだけでも食べると良いでしょう。
 規則正しい生活を送ることも自律神経を整えるために大切です。生活習慣や睡眠環境を整えながら対策をしていきましょう。

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栄養士・ダイエットコーチ
吉田 理江(よしだ りえ)
飲食店勤務後、料理研究家のアシスタントを経て独立。栄養指導、健康・ダイエットレシピの作成やコラム執筆、セミナー講師など幅広く活動中。薬膳アドバイザーやアンチエイジング料理プランナーなどの資格も多数取得。

反射神経を鍛える

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 ちょっとした段差や何かにつまずいて転びそうになることはありませんか。とっさに反応する能力が衰えていると、手や足の動作が遅れて頭を打ってしまったり、変な体勢で倒れてしまったりしてけがをする可能性が出てきます。
 今回は、手足の動きをいろいろ変化させて反射神経を鍛える体操をご紹介します。集中力や瞬発力、判断力が鍛えられ、脳トレにもなります。一見シンプルな動きですが、思った以上に難しいかもしれません。
 アイデア次第で手足の動きの組み合わせはいくらでも広がります。無理のない範囲で、楽しみながらチャレンジしてみましょう。


手指足指を同時に動かす

(1)いすに座って行います。両手の親指を立て、同時に両足の親指も立てます。足指は床から持ち上げるイメージでOKです。指を立てて下ろすという動きを1セットにして、15回繰り返します。

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(2)両手の人さし指を立てると同時に、両足の親指以外の4本の指を立てます。この動きを1セットにして、15回繰り返します。

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ポイント
ゆっくりでよいので、できるだけリズミカルに行いましょう。「イチ、ニ、サン……」と声を出しながら行うと、音の刺激が耳から入り、脳トレ効果がアップします。

2023年6月29日 (木)

遠くにあっても台風に注意

気象予報士●檜山靖洋


 例年、子どもたちの夏休みに合わせるかのように、本州付近では梅雨明けとなります。子どもの頃には、海水浴、旅行、キャンプ、花火大会と、夏の楽しみがめじろ押しで、夏休みと梅雨明けが近づくと、とてもウキウキしたことを思い出します。
 海水浴に行く前には、晴れていても雷雨がないか、風が強く波が高いかどうかなど、天気予報を確認しましょう。ただ、穏やかな天気でも油断しないでください。思わぬ高い波がやって来ることがあります。原因は、遠くの海にある台風からのうねりです。遠くの台風からのうねりが入ると、平均してそれほど波が高くなくても、1000波に1波は、2倍以上の高さの波がやって来ることがあります。3時間に1回程度、大波が来るということです。
 遠くに台風があるかどうかもチェックして、台風がある場合は無理をしないようにしてください。

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気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

手足を伸ばして深呼吸

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 今回は「伸ばす」をテーマにした体操をご紹介します。同じ姿勢が長時間続く、または特定の筋肉を使い過ぎると血流が滞り、疲労物質がたまって筋肉が硬くなります。筋肉は関節と連動しています。関節の曲げ伸ばしがスムーズにできることで血流が良くなり、体の可動域が広がったり、運動能力が向上したりします。
 農作業はもちろん、事務作業などが多い方にもお勧めです。つぼを刺激し、深い呼吸を意識しながら体操して日頃の疲れを癒やしましょう。


日中使った筋肉を伸ばす

(1)いすに浅く座り、足を肩幅程度に開きます。両手首を外側にひねり、親指と人さし指の間を膝の上に付けます。腕を伸ばして体重を膝にかけ、腰から背中を伸ばします。

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(2)腰の後ろに手を回し、左手首を左にひねりながら手の平を下に向けて、右手を使って指を反らします。指や腕を伸ばし、胸を開いて伸ばします。反対の手でも行います。

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(3)左足を右足の上に引っかけ、右腕を伸ばして左肘で抱えます。上体を左へゆっくりひねって肩や脇の筋肉を伸ばします。反対側も同様に行います。

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(4)左手の合谷(ごうこく:人さし指と親指の骨が交差するくぼみ部分で、人さし指の内側辺りにあるつぼ)を右手の親指で押さえます。そのまま頭の後ろに両腕を回し左側へ傾け、右腕と脇の筋肉を伸ばします。反対側も同様に行います。

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(5)左手首を右手の親指と中指で押さえます。ここにはつぼが複数あります。左手首を右へ引っ張りながら首を右に倒して、首と肩を伸ばします。反対側も同様に行います。

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(6)膝の下を両手で抱え、尻の後ろと太ももの裏側を伸ばします。このとき、足首をゆっくり大きく左右に5回ずつ回し、膝から下の筋肉を動かします。反対側も同様に行います。

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ポイント
(1)〜(6)の伸ばす体操を20秒ずつ行います。伸ばすときは、口から息をゆっくり吐き、その後も息を止めずにゆっくり呼吸を続けます。