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2018年6月

2018年6月27日 (水)

認知症を防ぐ

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 認知症の原因には、脳血管型とアルツハイマー型の二つがあります。
 前者は高血圧や糖尿病などで脳の血管が障害されて、脳の神経細胞が広範囲に障害されるタイプです。後者は原因はよく分かっていませんが、脳の神経細胞が障害され、脳が萎縮するタイプです。これらを予防するには、40代から対策を始めておかなくてはなりません。
 脳血管型では、高血圧や糖尿病をしっかり治しておくこと。アルツハイマー型では、脳を鍛えることで、ある程度は予防できることが分かってきました。
 東京都健康長寿医療センターでは、認知症予防に役立つ方法をいろいろ研究していますが、低下しやすい認知機能の主な三つの機能、すなわち「エピソード記憶」「注意分割機能」「計画力」について、重点的に鍛える方法を勧めています。
 エピソード記憶というのは、比較的最近の出来事や、実際体験したことを覚えていて、その記憶をきちんと思い出すことができるという機能です。この機能を鍛えるには、例えば、昨日の昼食に何を食べたかをはっきり思い出す訓練をするとか、日記を付ける場合、今日の日記ではなく1日前や2日前の日記を書いてみることです。
 注意分割機能は、二つや三つの作業を同時進行しながら、うまく実行できる機能です。たまった新聞や手紙などを手際よくまとめたり仕分けしたりする行動や、二つ以上の料理を同時に作る作業が有効です。
 計画力を鍛えるには、例えば複数の店で食品や日用品などの買い物をするときに、どのように移動したら効率的なルートになるか考えてみることです。また、旅行のプランを立てたり、囲碁や将棋、マージャンなどでさまざまな作戦を考えるのも、計画力の鍛錬に役立ちます。

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指・手のひらストレッチで肩凝り解消!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 便利で快適な暮らしが実現する一方、現代社会では多くの人がストレスにさらされています。過度のストレスは心身のバランスを崩し、健康を損ねる原因になります。今回はストレスを和らげるといわれるつぼを利用した手指体操です。
 手のひらのほぼ中央に「労宮」というつぼがあります。中国では古くから不老長寿のつぼといわれています。ここを親指で押しながら、呼吸に合わせて押されている手の指を一本一本曲げたり伸ばしたりします。
 手首の周りは、重要なつぼがいくつもある場所でもあります。手首を指でつかんだ状態で回すことでつぼを刺激する運動もお勧めです。これらの体操で気分をリフレッシュさせましょう。


つぼを刺激しながら手指を動かす


ステップ1

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(1)「労宮」は手のひらのほぼ中央にあります。ストレスを和らげる他、精神統一、集中力を高める効果もあるといわれます。

(2)左手のひらの「労宮」を右手の親指で押します。押した状態で息を大きく吐き出します。続いて左手の親指、人さし指……と順番に指を曲げていきます。

(3)指が全て曲がったら、呼吸を止めて1秒置いて、息を吐きながら小指から一本一本指を広げていきます。息を吐き切ったら、この動きをもう一度やってみましょう。反対の手も同様に行います。


ステップ2

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(1)左手首を右手の親指と人さし指で包み込むように押さえます。ゆっくり息を吸います。

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(2)息を吐きつつ左手のひらを前へ出し、回転する左手首のつぼをこするように刺激します。同様に右手首も行います。