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2020年8月

2020年8月28日 (金)

台風シーズンの不調「気象病」

健康科学アドバイザー●福田千晶

 台風は、農業に従事する人にとって、作物の被害の心配や農作業がはかどらないなど、大きな悩みの一つでしょう。大雨の前に、頭痛や目まい、疲労感、関節痛や肩凝りや腰痛、その他の不調でつらい人がいます。これは「気象病」とも呼ばれています。これからの台風シーズンなど、前日に比べて気温が10度以上もしくは、気圧が10ヘクトパスカル以上も変動すると、気象病の症状が現れる人が増えます。
 気象病は体のいろいろな部分の状況変化で起こりますが、特に耳の奥にある内耳が気圧の変化に敏感です。乗り物酔いも内耳の揺れで起こる点で気象病に似ています。内耳の情報が脳に伝達されていますが、過剰な情報が伝わると、体は「こんな大変なときに、出歩くと危険がいっぱい、活動しない方が良い」と判断して、家にいて静かに寝たい体の状態になるのでしょう。
 そうはいっても、やるべき仕事はたくさんあるし、休んでもいられない日もあります。台風が接近し「体調が悪いけれど、今日は頑張らないと……」というときは、本当につらいですよね。
 対策としては、乗り物酔いの薬を飲むと楽になることもあります。市販薬がありますから薬局やドラッグストアでも入手できます。ただし、持病の悪化や症状が激しい場合には、主治医などの医療機関に相談してください。
 その他に簡単にできる対策としては、耳のマッサージがあります。耳を上下左右に引っ張る、耳を上下に軽く折るようにしたり、耳たぶも折るようにマッサージしてみると良いでしょう。耳の周囲の血行が良くなることで、内耳のリンパ液の滞りが解消されて、症状が治ることがあります。どこにいても手軽にできるので、試す価値はあります。
 関節痛や腰痛は、冷やさないことも大事です。まだ暑いですが膝など意外に冷えていることもあるので注意して、元気に過ごしたいですね。

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振りかぶり体操で疲れを解消

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 残暑で疲れが出る頃です。暑さに頑張って耐えてきた体の疲れは気付かないうちに溜まっている場合が多く、全身の疲労感、倦怠(けんたい)感、無気力、食欲不振などの症状が出てきます。疲れを秋に持ち越さない体操を紹介しましょう。
 今回は合谷(ごうこく)というつぼを使います。このつぼは万能のつぼで、ストレスやイライラの解消をはじめ、胃腸の調子を整える、肩凝り・歯痛・頭痛、目の疲れの緩和、風邪のひき始めなど幅広く効果があるといわれています。
 合谷を押さえながら姿勢と呼吸を整え、疲れを癒やします。腕や肩を大きく動かすことで血行も促進され、気分スッキリ、代謝アップにも役立ちます。


【合谷のツボ】
手の甲側で、親指と人さし指の骨と骨の間にあります。両手を握ると上に組んだ親指がちょうど当たるところです。手を組んだまま親指で押してつぼをほぐします。

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ツボを刺激しながら腕を動かす

(1)左手の親指が手前になるように握ります。このとき、右手の親指で左手の合谷を押さえて刺激します。

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(2)握った状態で、背筋を伸ばして息を吸いながら5秒ほどかけて腕を頭の上、できれば後頭部まで持っていきます。そこで息を止めて3秒ほど数えたら、10秒ほどかけて息を吐きながら(1)の位置に戻します。これを5回繰り返します。

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(3)左右の手を替えて(1)(2)を行います。
◆注意:肩に痛みのある人は無理せず、腕が上がるところまででOKです。

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