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2022年4月28日 (木)

アイスの賞味期限

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 買い物のとき、賞味期限は必ずチェックする、という人は多いかもしれませんね。私が2730人にアンケートを取ったところ、できるだけ賞味期限が長く残っているものを商品棚の奥から取るという人が88%に上りました。
 実は、賞味期限を書かなくていい食品がいくつもあります。その一つがアイスクリーム類です。なぜ、書かなくていいのでしょう?
 アイスはマイナス18度以下で保存するので、品質の劣化が緩やかだからです。そういわれてみれば、買うときにパッケージを裏返して賞味期限を確認したりはしないですよね。
 とはいえ、永遠に持つかというと、そうではありません。例えばアイスモナカなど、モナカの皮のパリッとした食感が求められるような場合は、製造してからできる限り早く出荷し、消費者に届けます。在庫をためないよう、需要に見合った数を市場に出せるよう、気象データを活用し、需要と供給の誤差を最小限にしているメーカーもあります。
 そんなアイスでも、食品ロスになってしまうことはあります。メーカーや流通の冷凍倉庫にためておいた商品が売れない、在庫がはけないとなれば、常温の倉庫よりも保管コストがかかってしまいますから、企業は一定期間を設け、それが過ぎれば処分します。
 廃棄は最終手段として、フードバンクなどに寄付する場合もあります。特に児童養護施設などの福祉施設では、普段あまり食べられないアイスはとても喜ばれます。あるメーカーでは、クリスマスの時期に社員がサンタクロースに扮装(ふんそう)し、児童養護施設に直接届けていました。子どもたちの喜んでくれる姿は、社員の励みになっていました。
 賞味期限表示は書かなくていいアイスに「お客さまから要望があったから」と、賞味期限表示を入れ始めたメーカーもあります。あなたはアイスに賞味期限表示を求めますか?

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アイスのカップに印刷された賞味期限(著者撮影)


食品ロス問題ジャーナリスト
井出 留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著作多数。