温帯低気圧と熱帯低気圧
気象予報士●檜山靖洋
「台風が温帯低気圧に変わりました」や、「台風が熱帯低気圧に変わりました」という表現、どちらのパターンもあります。
温帯低気圧と熱帯低気圧の違いは、発達のエネルギーとなる「燃料」です。熱帯低気圧は、熱帯の海から供給される暖かい湿った空気により発達します。熱帯低気圧が発達したものが台風です。温帯低気圧は、暖気と寒気がぶつかることで発達します。温帯低気圧は発達しても名称は変わらず、ニュースや気象情報では単に低気圧と呼ばれます。
台風が衰えて温帯低気圧になった後に、温帯低気圧として再び発達することがあります。暖かい湿った空気が弱まっても、寒気が入り込んで暖気とぶつかり発達するのです。電気で走っていた車が電池切れになったときにガソリンに切り替えてまた走りだすようなもので、ハイブリッドな低気圧です。このような場合は、台風ではなくなっても、暴風や大雨に警戒が必要です。
気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。