温暖化でも春に霜害
気象予報士●檜山靖洋
ここ近年は、桜の開花が早まり、西日本や東日本では、入学シーズンよりも卒業シーズンに桜が見頃になることも少なくありません。これも地球温暖化が原因の一つと考えられます。春に気温が高くなると、他にも影響があります。
2021年4月、福島県では遅霜による農作物の被害が大きくなりました。開花期の果樹は花に障害が出て、発芽期の果樹は芽が枯死するなどの影響があったということです(福島県農林水産部農業振興課「令和3年凍霜害の記録」より)。この年の春は、気温が高く経過したため、農作物の生育が早まりました。気温が高く経過する春でも、時には冷え込み、遅霜が降りることがあります。農作物の生育が早まる分、霜が降りやすい時期と重なり、むしろ果樹への霜害の危険性が高まってしまいます。
地球温暖化時代は、遅霜による農作物の被害の危険性が高まるため、より一層の対策が必要になります。
気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。