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2016年3月

2016年3月24日 (木)

国産牛肉、和牛肉、輸入牛肉は、何が違うの?

日本獣医生命科学大学応用生命科学部教授●西村敏英

 日本では焼き肉、すき焼き、肉じゃが、カレーライスなどに使われる牛肉。スーパーマーケットで牛肉を購入する際に、パッケージのラベルを見ると、「国産牛肉」「和牛肉」「交雑牛肉」「輸入牛肉(米国産)」「輸入牛肉(豪州産)」など、表示がいろいろされていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
 牛肉は、その牛の品種や肥育場所の違いによって、名称が異なります。「国産牛肉」は、日本での肥育期間が最も長い牛から取られた肉のことで、「和牛肉」「乳用種牛肉」「交雑牛肉」があります。「和牛肉」といえば「黒毛和牛」という印象が強いと思いますが、それは和牛のおよそ90%を占めているのが、黒毛和種だからです。和牛肉は、霜降りがたくさん入っていて、脂肪が多く軟らかい肉です。こくと甘味があるので、すき焼きやしゃぶしゃぶによく使われています。「乳用種牛肉」は、ホルスタイン種の牛の肉で、赤身が多い肉です。「和牛肉」と比べて、脂肪が少なく、健康志向の人には適した牛肉といえるでしょう。「交雑牛肉」は、ホルスタイン種の雌と黒毛和種の雄を交配させて作り出された交雑牛(F1)から取り出された肉で、黒毛和種の牛肉に比べると、霜降りの割合は低いものの、軟らかいのが特徴です。高齢者にも食べやすいお肉です。
 「輸入牛肉」は、米国や豪州で肥育されたヘレフォード種やアバディーンアンガス種などが中心です。米国産の牛は濃厚飼料で肥育されますが、豪州産の牛はグラスフェッドと呼ばれ、牧草で肥育されることから、同じ輸入牛肉でも、豪州産牛肉には、米国産牛肉にはない牧草の風味があるなど、味わいには大きな違いがあります。料理によって使う肉を選んで、味わいの違いを楽しんでください。

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西村 敏英(にしむら としひで) 農学博士。著書に『最新畜産物利用学』『食品の保健機能と生理学』などがある。 2003年日本家禽学会技術賞受賞、2004年日本農芸化学会英文誌優秀論文賞受賞。

有機栽培の基本は土づくり~手軽にできる有機ベランダ栽培

明治大学特任教授●佐倉朗夫

 無農薬、無化学肥料栽培を有機栽培と考える人が多いと思いますが、それは入り口にすぎません。生物の多様性と物質の循環を基本とし、作物本来の生命力を引き出す栽培です。
 有機栽培の基本は土づくりです。有機栽培で一番苦労するのは病害虫対策だと思いますが、実は土づくりを上手に行えば、被害はさほど大きくなりません。畑が自然生態系の営みの一部として機能し、共生や寄生の関係が複雑化することにより、病害虫だけが極端に増えることがなくなるからです。また、生態系の世界は、生物の種類と個体数が圧倒的に多い土壌中につくられやすく、そこで作物の根が十分に成長すると地上部も健全に育ち、病害虫にも強くなります。その根の成長のためにも土づくりは重要です。
 土づくりは、肥料を与えることではありません。作物の根が育つのに必要な酸素が十分ある状態、作物の生育を助けてくれる微生物が多く集まる環境をつくることです。それによって植物は根を伸ばし、根が伸びることで土を耕します。すると通気性が良くなり微生物も増え、さらに根の成長が促されます。小動物や微生物は有機物を食べ(=分解し)、有機物が分解されてできた栄養分が土に蓄積し土がつくられます。森林の土は耕しもせず、肥料も与えないのに多くの植物が育つのは、このような植物と多様な生物との関係の中で、栄養分が循環しているからです。
 ベランダ菜園ではコンテナ(プランター)を使いますが、幅50~60cm、奥行き20~30cm、深さ30cmくらいあればほとんどの野菜が栽培できます。土は赤土(中粒赤玉土での代用可)、腐葉土を3:2で混ぜ、パーライトを10%加えて作ります。ここから5分の1程度を分け、できるだけ細かく砕いて播(は)種用の土にします。残りにぼかし肥料を土量1Lに対して1g混ぜたものをコンテナの底に敷き詰めた鉢底石の上に入れ、その上に播種用の細かい土を載せます。これで種まき、植え付けの準備は完了です。

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チューリップ

一般財団法人日本気象協会●檜山靖洋

 咲いた、咲いた、チューリップの花が。春らんまん、チューリップが咲く季節になりました。チューリップといえば、富山県が有名で、チューリップ祭りも行われます。全国の気象台では、さまざまな植物の開花を観測していますが、チューリップの開花を観測しているのは富山の気象台だけです。
 チューリップは暖かいと花が開きます。気温が10度を超えると開き始め、暖かくなるに連れて花を広げ、20度くらいになると大きく開きます。花が大きく開いているときは、気温が20度くらいまで上がったと分かり、花が閉じてきたら10度以下まで下がってきたと判断することもできますね。いわば自然の温度計です。
 そんなチューリップを見にピクニックに出掛けるのも、この時期ならではの楽しみですね。
 お弁当には、鶏のチューリップ唐揚げを持って行きましょう。

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