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2016年6月28日 (火)

鶏肉の種類とおいしさの特徴

日本獣医生命科学大学応用生命科学部教授●西村敏英

 鶏肉は脂肪が少なく、低カロリーで良質なたんぱく質源です。近年の健康志向の高まりとともに、家庭でもよく利用されるようになりました。癖が少ないので、他の食材と組み合わせやすいのも特徴で、煮る、焼く、蒸す、揚げるなどさまざまな方法で調理できます。
 鶏肉は、一般的なブロイラー、餌や飼育方法を工夫したブロイラーにブランド名を付けた銘柄鶏、限られた品種から作出され、出生証明書や飼育方法に厳しい条件が設けられている地鶏の3種類に分かれています。これまではブロイラーが一般的でしたが、ヘルシーかつおいしい鶏肉として、銘柄鶏や地鶏の人気が高まっています。
 鶏肉のおいしさは、食感、味、香りが重要です。適度な硬さと濃厚な味わいがあり、好ましい香りを感じる肉がおいしいと評価されます。ブロイラー、銘柄鶏、地鶏は、それぞれ食感や味わいが異なりますが、なかでも地鶏は、歯応えがあり、独特の味わいがあるおいしい鶏肉として注目されています。「名古屋コーチン」「比内地鶏」「薩摩地鶏」など、特定日本農林規格(特定JASマーク)表示された地鶏が、食肉売り場に並んでいます。
 鶏肉は、部位により、ささ身、ムネ、モモ、手羽先、手羽元などに分かれますが、それぞれお勧めの調理方法があります。ささ身やムネ肉は、下ごしらえの工夫次第でジューシーに仕上げることができ、サラダ、蒸し鶏、茶碗蒸し、チキンカツなど、どんな調理にも向いています。モモ肉は、唐揚げ、照り焼き、煮物がお勧め。手羽先や手羽元は、コラーゲンが豊富で、スープや煮込み料理、唐揚げ向きです。
 ムネ肉には、がんや老化予防に効果が期待される抗酸化物質であるカルノシン、アンセリンがたくさん含まれています。さらに血圧上昇の抑制作用があることも認められています。ヘルシーでおいしい鶏肉を積極的に食卓に取り入れましょう。


西村 敏英(にしむら としひで) 農学博士。著書に『最新畜産物利用学』『食品の保健機能と生理学』などがある。 2003年日本家禽学会技術賞受賞、2004年日本農芸化学会英文誌優秀論文賞受賞。

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