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2016年8月 1日 (月)

牛肉の質とランクの関係

日本獣医生命科学大学応用生命科学部教授●西村敏英

 高級な牛肉を使用しているステーキ店やすき焼き店などで、メニューに「A5」などという表現を目にしたことがあると思います。スーパーなどの食肉売り場で、国産牛肉のパッケージラベルにも表示されていることがあります。これは、簡単にいうと牛肉の格付けのことです。
 格付けは、和牛だけでなく交雑牛・ホルスタインなども含めて、国産牛は全て評価されます。「A」「B」「C」と表現されるのは、歩留まり等級といい、食肉となる過程で、部分肉がどれくらい取れるかを基準とする肉量の評価で、余計な脂が少なく、たくさん肉が付いているものが「A」、標準的なものが「B」、余計な脂が多く肉が少ないものは「C」です。
 肉質については、霜降り具合・色のつや・肉の締まり具合やきめの細かさ・脂肪の色と質の4項目を総合的に評価して、「5」「4」「3」「2」「1」と5段階の肉質等級に分けます。肉質等級は、4項目のうち最も低い等級に決定して格付けされますが、霜降りの割合が多いか少ないかが、この数字に大きく影響します。「A5」は、肉量ならびに肉質共に最高級の証しなのです。
 上質なおいしい牛肉を手に入れたいとき、何を基準に選んだらよいのでしょうか。「A」「B」「C」ではなく、5段階に評価される肉質等級の数字が、おいしさの決め手になります。「A5」や「B5」の肉は、霜降りの割合が非常に高いので、とても柔らかく、和牛独特の甘い香りの味わいを感じることができます。十分に火を通しても硬くならず、焼き肉だけでなく、ステーキやすき焼きにも適しています。しかし、濃厚な霜降り肉が苦手な方や中高年の方には「A3」や「B3」くらいがお薦めです。
 牛肉は、焼き肉、ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ローストビーフなど、豊かな食生活の演出をしてくれます。購入時に質とランクを参考にしてみてはいかがでしょうか。


西村 敏英(にしむら としひで) 農学博士。著書に『最新畜産物利用学』『食品の保健機能と生理学』などがある。 2003年日本家禽学会技術賞受賞、2004年日本農芸化学会英文誌優秀論文賞受賞。

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