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2016年10月31日 (月)

子どもの誤嚥・誤飲

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 「誤嚥(ごえん)」と「誤飲(ごいん)」は、言葉の響きは似ているけれども、その内容はまったく違います。
 「誤嚥」とは、通常なら食道へ送り込まれるはずの食物や唾液などが、何らかの理由で誤って咽頭、気管に入ってしまう状態をいいます。これが原因で起こる病気に「誤嚥性肺炎」があります。
 もう一方の「誤飲」は、食物以外の物(特に体に有害な物)を誤ってのみ込んでしまうことです。誤飲に多い物としては、硬貨、待ち針、プラスチックの小物、ピンなど、たばこ(特に吸い殻)、瀬戸物製品、金属類(針、くぎなど)、小型電池、洗剤などがあります。2、3歳までの子どもがいる家庭では、こういった誤飲されやすい物は机上や床上に置かないことが大事です。
 鋭い縁がない硬貨などは、待っていれば数日のうちに便と一緒に排出されることもありますが、食道の途中に引っ掛かっているときは食道の壁に穴が開くことがあるので、早めに取り出さなければなりません。
 子どもの傷害予防の第一人者、山中龍宏医師の、食べ物による誤飲誤嚥窒息の予防方法を紹介します。
 まず3歳になるまでは、乾いた豆類や乾いた豆類が入っているチョコレートは食べさせません。食事中に子どもの肩をたたいたり、大声で呼んだり、びっくりさせたりしない。薄い小片になる食べ物は禁物。生のニンジン、セロリ、リンゴなどは、つぶしてから与える。ソーセージやフランクフルトは小さく切り、ソーセージの外皮は剥ぐか、輪切りにするのではなく、縦に割いてから切ります。プチトマトなど球形の場合には2つないし4つに切ります。
 家庭での注意事項として、寝た姿勢で食べたり、歩きながら、遊びながらの「ながら食べ」は絶対しないこと。車や電車、飛行機の中では、豆類は食べさせないこと。急停車や揺れが誤飲を招くことがあります。

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