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2017年11月30日 (木)

暮れの仕事

よこはま里山研究所NORA●吉武美保子・石田周一

 最近、紅葉が遅くなって、12月中旬になっても広葉樹の葉が落ち切らないそうです。それでも暦通り年は暮れます。
 農家のそばを通り掛かると、何やらザザーッと、海の波のような音が響いています。
 「落ち葉が少ないんだけどね。くず掃きはしておかないとお正月が迎えられないのよぉ~」と、お宅の裏山でお母さんが笑いながら叫んでくれました。子どもがすっぽり入れそうな竹籠に、普段見るよりも一回り大きな熊手で集めた落ち葉を詰め、それを背負って堆肥置き場に行ってひっくり返し、プリン形となった落ち葉をならして踏み込んでいます。
 誘われて、首にタオルを巻きマスクと軍手を持って、いざ「くず掃き」へ! 斜面で踏ん張り、体中が熊手と一体となったような感覚で落ち葉を集めます。お母さんの手順と同じように、竹籠に詰め、堆肥置き場でひっくり返し、ぎゅうぎゅう踏み込んで。子どもたちもやって来ると、落ち葉の上がトランポリンのようになりました。寝転がってみたら、空が青くて広いこと! 落ち葉をかいた場所では、ルリビタキが虫を探しに来ていました。
 一休みで土間に行くと、トントンとおじいさんが稲わらを木づちでたたいています。正月飾りの締め縄や輪飾りを作る準備です。ユズリハもウラジロも庭にあるので買わなくてもいいそうです。里山ではそれが当たり前。暮らしに必要な物は、家の周りで調達できるように手入れがされているそうです。
 「あさっては餅つきよ。またお手伝いに来てくれる?」
 もちろんです(笑)。自分の家の大掃除はほどほどに、正月を迎えるという「行事」を経験できることがうれしいのです。

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よこはま里山研究所NORA…http://nora-yokohama.org/