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2018年11月27日 (火)

五十肩の3段階の経過と注意点

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 「普段から何となく右肩がぎこちないと思っていましたが、ある晩急に痛みを感じ、その後痛みが取れません。医師に診てもらったら『五十肩』と言われましたが、どうすれば治るでしょうか」(52歳男性)。そんなお悩みを聞きました。
 五十肩は、特にきっかけがないのに肩が徐々に痛みだし、肩が動かしにくくなる病気です。40代、50代での発症が最も多いので、この名が付いています。
 肩関節は、全身の関節の中で最も大きく動く関節です。そのため、肩関節の周囲の組織には大きな負担がかかります。長年の負担が原因で、40~50代頃になって肩関節の周囲の組織に炎症が起こるのが、五十肩です。医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれています。
 五十肩は「急性期」「慢性期」「回復期」の3段階の経過をたどります。
 五十肩のなり始めの痛みの強い時期を急性期といいます。動かした瞬間に最も痛み、寝ているときなど安静時にも痛みます。ただし、腕や肩を動かすことはできます。期間は約1~2カ月間です。
 急性期には肩を無理に動かしたりせずに、安静を心掛けることが第一です。特別な治療をしなくても、多くはやがて治ります。しかし、痛みが特に強い場合や、電車などでつり革をつかめなかったり、衣服の着脱が困難になるなど、日常生活に支障を来している場合は、整形外科を受診しましょう。
 慢性期に入ると、痛みは減るものの肩関節を覆っている関節包が縮んで硬くなり、関節が動かしにくくなります。そこで少しずつ肩を動かしていき、無理のない範囲で関節の動く範囲を広げていきます。およそ5~6カ月間です。回復期に入ると、痛みはほとんどなくなります。しかし、肩関節の硬い状態は続きますので、回復期には積極的に肩を動かすことを続けましょう。

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