初めての里山歩き
よこはま里山研究所NORA●吉武美保子・石田周一
里山と関わることの素晴らしさをご紹介したいと思います。
家族4人で初めて歩いた里山の散歩道には、ワクワクがいっぱいありました。
畑の土の色、野菜の緑や黄。芽吹き始めた雑木林は煙ったような薄緑。そして、山桜の薄いピンク。全てが生き生きとしているのです。
ここに越してきて良かったなと実感しました。都心部から郊外に来たのですが、電車では30分ほどの距離です。ゆったりしていて、便利なお店なども多い街です。その住宅地のすぐ近くに予想以上の豊かな自然があって、驚きました。
深呼吸すると、それだけでごちそうのように気持ちいい柔らかな空気。畑の黄を指さし「きれいだね、菜の花だよ」と子どもに語り掛けると、後ろから「ありゃ、小松菜だぁ」という声が……。びっくりして振り返ると、くわを抱えたおじさんが笑っていたから、またびっくりです。「そんで、あっちの薄い黄色は水菜。片付けが間に合わないと花が咲いちまうんだよ」と。スーパーでしか見たことなかった野菜が、目の前にあって、ちょっとした衝撃でした。見とれていると、おじさんがそんな花たちを束にして持って来てくれ、「食えないけど、飾れるだろ」。そこには、なんとテントウムシの赤。キラキラ輝いて見えました。息子の手に載せると、小さな命に息子は息を凝らしていました。やがて指先から飛び立つと、姉も一緒に歓声を上げました。
雑木林からウグイスの気持ち良さそうな歌声が聞こえました。みんなで姿を探したのですが、見つかりませんでした。家に帰り図鑑で確かめました。「スズメ目ってあるよ。スズメの仲間なのかなぁ?」「次の散歩では姿を見たいね」と話しました。そういえば、前の街では灰色のハトくらいしか見掛けませんでした。里山にはいろんな楽しみがあるのです。
よこはま里山研究所NORA…http://nora-yokohama.org/