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2017年5月 1日 (月)

田んぼにはまる

よこはま里山研究所NORA●吉武美保子・石田周一

 今、親子ですっかり田んぼにはまっています。近くに里山のある街に越して来てからです。都心に住んでいた頃には想像もできませんでした。
 この地域には市民が参加体験できる田んぼがさまざまあるのです。田植えと稲刈りだけの場合もありますが、私たちは米作りの全過程に参加しています。農家の指導の下、3月の田起こし、4月の種まき、苗作り、あぜ塗り、代かきなど、田植えまでの過程を体験します。5月は連休も毎週末も作業があります。多いときには、1枚の田んぼに20人もの人が集まります。
 全てが初めてで新鮮なのですが、特に代かきには興奮しました。田んぼに水を入れて土と混ぜ田植えの準備です。旧式の手押し型の耕運機で田んぼの中を行ったり来たりします。よたよたと泥を浴びる姿に「機械を使っているんだか、機械に使われているんだか、分からんな」と農家に笑われました。
 子どもたちは、もううれしくてうれしくて泥の中を転げ回っていました。自然の中での笑顔がなんとも子どもらしく、いい姿でした。
 田んぼに仲間が集まり、笑顔があふれるのは、街に近い里山故の素敵な光景だと思いました。一方で、農家の問わず語りを聞くと、都市近郊での小規模の米作りはどうしても赤字になるそうで、やめていく農家も多く、あちこちで田んぼが埋められているそうです。先祖代々の田んぼを守りたい、家族が食べる米は自分で作りたいという思いで続けているそうです。そして、こうして新住民と米作りを楽しめることも大事にしていると聞きました。
 普通のサラリーマンである私は、普段の思考は収益第一で、時には競争に勝たねばならないと仕事をしています。米作り体験を楽しみながら、人が働くこととはいったい何だろうかと考えています。

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よこはま里山研究所NORA…http://nora-yokohama.org/