« 世界でそこにしかない在来野菜の強み | メイン | 縦じまの天気図 »

2017年12月27日 (水)

大掃除と災害対策

災害危機管理アドバイザー●和田隆昌

 年末が近づくと、多くのご家庭で一斉に大掃除が行われると思いますが、家具を動かすこの時期に、災害対策の見直しをやってみてはいかがでしょうか。
 2016年の熊本地震では、人的被害の発生した木造家屋を検証すると、そのほとんどが1階部分の倒壊によるものでした。これは木造家屋は2階部分の重量によって家屋が倒壊してしまうためであり、実際の現場を見ても明らかでした。
 耐震性が低いと考えられる2階建ての木造家屋では、なるべく寝室を2階に配置するよう指導するのはそのためです。また、2階に重量のある書庫などの荷物を詰め込むことで、家屋の耐震性が大きく損なわれることになることも知っておきましょう。事前に2階の荷物の整理をやっていたために倒壊を免れた、という事例も存在します。断捨離が命を救うということもあるのです。
 過去の大きな地震発生時には、家具が凶器となって人に被害をもたらすケースが数多く発生しています。家具の配置換え、固定などの見直しなど、まずは寝室だけでもやっておくことが家族の安全を図るのにとても有効です。さらに大切なのが避難経路の確保です。地震や火災の発生時に、廊下や玄関、またはベランダなどに退路をふさぐような荷物があると避難が遅れ、生死に関わります。マンションなどの集合住宅では玄関へと避難できない場合、ベランダ方向の避難経路も必要です。先日、消防士さんとの会合の中で「火災現場で被害が大きくなる家は、荷物が整理整頓されていない家が多い」というお話を聞きました。コンセントなどにほこりがたまることで、火災が発生することもあります。年末に限らず、日々の整理整頓は災害被害から身を守ることにつながることを知っておきましょう。

P29_12bousai_4c

和田 隆昌(わだ たかまさ) 災害危機管理アドバイザー。アウトドア雑誌の編集者の経歴を生かし、主に自然災害の防災対策を専門とする。各種団体や地域の団体と協力し民間側における現実的な防災対策を提唱。