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2018年11月

2018年11月27日 (火)

節約するならしっかりご飯

管理栄養士・雑穀料理家●柴田真希

 家計の消費支出の中で、住居代(家賃・地代)は変更できませんし、水道光熱費は切り詰めるにも限界があります。節約したい、貯金したいと思ったとき最初に目を向けられるのは「食費」ではないでしょうか。
 しかし、きちんと食べず体調を崩して病院代や薬代など無駄な出費が増えては意味がありません。また食事の量を減らし過ぎておなかがすいてしまい、間食に手を出してしまえば余計な出費がまた増えます。しっかりとバランスを取りつつ、きちんと節約をするならしっかりと「ご飯」を食べることをお勧めします。
 最近は糖質オフ・低炭水化物ダイエットなどでご飯を控え、おかずを多めに食べる人がいますが、おかずばかり食べると食費がかさみます。例えば、100g当たり、鶏もも肉は120円、豚ロース肉は260円くらいですが、ここから加熱して味付けするのに調味料代がかかり付け合わせなども添えます。しかし肉類100gだけでは、おなかは満たされません。それに比べて米1kgが500円の場合、炊いたご飯は1杯(150g)で34円。大盛り(200g)でもたったの45円です。米は水を入れて炊くだけなので、これ以外に費用もかかりません。
 コンビニエンスストアに行っても200円強あればおにぎりが2個購入できますが、200円強ではサラダ1個くらいしか買えません。サラダで栄養補給はできますが、おなかいっぱいにはなりません。
 もちろん、肉や魚などのタンパク質、野菜などでビタミン・ミネラルを補給することも大切ですが、大切なのはバランス。ベストな栄養バランスはご飯6:おかず4です。おかずばかり食べるのではなく、しっかりご飯を食べることで栄養バランスも整え、食費も抑えることができるのです。

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柴田真希(しばたまき) 株式会社エミッシュ代表取締役。Love Table Labo.代表。管理栄養士、雑穀料理家、フードスペシャリスト、1級惣菜管理士、健康食育シニアマスター、漢方養生指導士(漢方スタイリスト)。著書に『女子栄養大学の雑穀レシピ』(PHP出版)『おなかやせ定食』(主婦の友社)などがある。

五十肩の3段階の経過と注意点

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 「普段から何となく右肩がぎこちないと思っていましたが、ある晩急に痛みを感じ、その後痛みが取れません。医師に診てもらったら『五十肩』と言われましたが、どうすれば治るでしょうか」(52歳男性)。そんなお悩みを聞きました。
 五十肩は、特にきっかけがないのに肩が徐々に痛みだし、肩が動かしにくくなる病気です。40代、50代での発症が最も多いので、この名が付いています。
 肩関節は、全身の関節の中で最も大きく動く関節です。そのため、肩関節の周囲の組織には大きな負担がかかります。長年の負担が原因で、40~50代頃になって肩関節の周囲の組織に炎症が起こるのが、五十肩です。医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれています。
 五十肩は「急性期」「慢性期」「回復期」の3段階の経過をたどります。
 五十肩のなり始めの痛みの強い時期を急性期といいます。動かした瞬間に最も痛み、寝ているときなど安静時にも痛みます。ただし、腕や肩を動かすことはできます。期間は約1~2カ月間です。
 急性期には肩を無理に動かしたりせずに、安静を心掛けることが第一です。特別な治療をしなくても、多くはやがて治ります。しかし、痛みが特に強い場合や、電車などでつり革をつかめなかったり、衣服の着脱が困難になるなど、日常生活に支障を来している場合は、整形外科を受診しましょう。
 慢性期に入ると、痛みは減るものの肩関節を覆っている関節包が縮んで硬くなり、関節が動かしにくくなります。そこで少しずつ肩を動かしていき、無理のない範囲で関節の動く範囲を広げていきます。およそ5~6カ月間です。回復期に入ると、痛みはほとんどなくなります。しかし、肩関節の硬い状態は続きますので、回復期には積極的に肩を動かすことを続けましょう。

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手のひらたたきで転倒防止

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 何もない場所で転んだ経験はありませんか。実はこれ、加齢変化の第一歩。お年寄りの転倒はその後の生活に大きな影響を与えることがあり、予防がとても重要です。
 転倒しやすくなる原因の一つに、加齢による神経と筋肉の連携障害が挙げられます。今回ご紹介する手指体操は、神経系に働き掛けて、とっさの危険防止に役立てようというものです。
 どちらの手がグーかパーか、どちらの手でたたくか、何回たたくかを瞬間的に使い分ける運動能力を身に付けていきます。転びそうになった瞬間、反射的に何かをつかんだり、手のひらを開いて地面に突いたりすることで身を守ります。
 パーは指先まで伸ばします。秒針程度の速さで始め、慣れてきたら少しずつ速くしてみましょう。日ごろから瞬発力を鍛え、先手を打っておくと良いですね。


ステップ1

(1)右手はこぶしを握り、左手は開きます。右手のこぶしで左手のひらをたたきます。

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(2)次は、右手は開き、左手はこぶしを握ります。左手のこぶしで右手のひらをたたきます。(1)(2)の動きを20秒ほど繰り返します。

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ステップ2

(3)右手は開き、左手はこぶしを握ります。右手のひらで左手のこぶしをたたきます。

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(4)右手はこぶしを握り、左手は開きます。左手のひらで右手のこぶしをたたきます。(3)(4)の動きを20秒ほど繰り返します。

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慣れてきたら(1)から(4)までを1セットとして繰り返し行います。