2022年3月31日 (木)

春眠暁を覚えず

気象予報士●檜山靖洋

 春本番を迎えます。4月は日ごとに暖かさが増し、過ごしやすくなって、良い陽気の日が多くなる季節です。春はなんとなく眠い日が多い気がしませんか。日なたの窓辺はぽかぽかで、昼間でもついうとうとしてしまいますね。
「春眠暁を覚えず、処々に蹄鳥を聞く」
 これは、古代中国、唐王朝の詩人の詩として知られています。春の眠りは心地良くて、夜が明けたことも気付かずに、鳥のさえずりでようやく目を覚ます、という意味です。
 東京や大阪では、4月の半ばごろから最低気温の平年値が10度以上になります。朝晩でも暖房が必要ないくらいになります。眠るにはちょうど快適な気温かもしれません。北日本では、まだ暖房が必要かもしれませんが、それでも冷え込みは次第に弱まってくる頃です。
 快適な眠りで疲れが取れるのは良いことですが、新年度早々、寝坊しないように気を付けましょう。

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気象予報士・防災士
檜山靖洋 ひやまやすひろ
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

グーパー体操で眠りと目覚めを快適に

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいので、質の良い睡眠をしっかり取って体調の安定を図りたいものです。
 今回は、「眠り」にフォーカスしたグーパー体操をご紹介します。グーパー体操はいくらでも応用が利く上、さまざまな健康効果が期待できる万能の体操です。手に加え、足も使うことで全身の血行を促します。
 夜はお風呂で、朝は布団の中で、1日2回行うのがお勧めです。基本的な動きは同じで、それぞれのこつを解説します。シンプルな動きで誰でも簡単にできますので、ぜひ毎日の習慣に取り入れてみましょう。


手と足で同時にグーパー

STEP1 基本の動き

(1)手と足の指を同時に開いて(パー)3秒間キープ。両手両足の指を大きく開き、関節をしっかりと伸ばします。

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(2)手と足の指をぐっと閉じて(グー)3秒間キープ。このとき、足指の関節の付け根部分からしっかり曲げます。(1)と(2)をゆっくり呼吸しながら10~20回繰り返します。

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STEP2 浴槽と布団の中でのポイント

浴槽では
腕はお湯から出しても、お湯の中で行ってもどちらでもやりやすい形で行いましょう。副交感神経の働きがアップして、スムーズな入眠を促します。

布団の中では
朝、起き上がる前に布団の中で行うグーパー体操は、気持ち良い目覚めを促します。あお向けの姿勢で、両手は頭の上に、足は膝を伸ばして行います。

2022年2月28日 (月)

野菜もの知り百科 ゴボウ(キク科ゴボウ属)

土壌医●藤巻久志

 ゴボウの原産地はユーラシア大陸北部で、日本には中国から薬草として渡来しました。日本で野菜になった初めての海外原産植物です。平安時代にはすでに宮廷料理の食材として利用されました。
 ゴボウを日常的に食べているのは日本だけです。第2次世界大戦中に捕虜収容所で係員が連合軍人にゴボウを食べさせたところ、戦後の戦犯裁判で「木の根を食べさせた」との理由で捕虜虐待罪となり死刑執行されました。食文化の違いによる悲しい出来事です。
 耕土が深い関東では長根種、浅い関西では短根種や葉ゴボウが普及しました。現在の主流品種は長根の滝野川系で、江戸時代に改良され全国に広がりました。滝野川は東京都北区の地名で、中仙道のその辺りは種屋が多く並び、種屋街道と呼ばれました。種屋は人と情報が集まる所で発展します。都があった奈良や京都には老舗の種苗会社があります。
 長根種の主産地は関東ローム層の埼玉や茨城などでしたが、深い溝を掘るトレンチャーやトラクターに装着できるハーベスターが開発され、北海道や青森などにも大きな産地ができました。
 ゴボウは夏にアザミに似た紫色の花を咲かせます。実にとげがあり、動物の毛や人の服にくっついて種を遠くまで広めます。人が実に触れると皮膚がかゆくなることがあります。西欧では根より花の方が知られていて、花言葉は「私に触らないで」や「しつこくせがむ」です。
 食物繊維が水溶性も不溶性も豊富で、含有量は野菜ではトップクラスです。便秘やコレステロール値などを改善し、発がん物質を排出します。皮にうま味と香りがあるので、汚れは包丁の背でこそげるだけにします。切った端から水にさらしますが、酢を数滴落としておくとあくによる変色が防げます。

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藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


手首ブラブラ体操で肩スッキリ

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 パソコンやスマートフォンの使い過ぎで、気付かないうちに手首の動きが悪くなっていることがあります。原因は手首のゆがみかもしれません。手首と肩は筋膜でつながっているため、手首の動きが悪くなると腕や肩の筋肉の血行が悪くなり、つらい肩凝りを引き起こすことも。
 手首ブラブラ体操でゆがみを解消し、肩もスッキリさせましょう。
 まだまだ寒さの残るこの時期は、体が硬くなりがち。手首を柔らかく動かすことで筋肉のこわばりがほぐれ、血行促進にも役立ちます。また、高齢になると関節の可動域が狭くなり、だんだん動きにくくなってきます。座ったまま、横になったままでもできる体操なので、高齢の方にもお勧めです。日頃から手首を動かしておくと、万が一転倒したときでも体を支えることができ、骨折予防にもなります。


上下、左右に手首を振る

(1)両肘を曲げて、手首を上下に柔らかく振ります。約10秒間行います。

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(2)同じポーズのまま手首を左右に振ります。約10秒間行います。

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【応用編】
(3)右手首を上下に、左手首を左右に振ります。頭も使うため、(1)(2)ほど簡単ではありません。ゆっくりでよいので挑戦してみましょう。

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ポイント
指先、手首、肩の力を抜いて、リラックスして行いましょう。

2022年1月28日 (金)

豆まきの豆は?

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 気温の平年値を見ると、一年の中で最も低くなるのは、2月初めごろの地域が多くなっています。ちょうど立春のころです。立春を境に気温が上がり始め、寒さの底を抜けるイメージです。
 立春は一年の始まり、お正月のようなものです。その意味では、立春の前日の節分は大みそかといえます。
 節分には豆まきをします。古代中国では、大豆は鬼毒を殺し、痛みを止めるといわれていたそうです。これに倣って日本でも大豆をまくようになったといいます。まいた大豆から芽が出たら凶事が起こるとされるため、芽が出ないように大豆をいって、豆まきに使うのです。
 いり豆はちょっとしたおやつにも最適ですね。栄養もたっぷり。まだまだ余寒が厳しい日もあり、寒暖の変化が大きいため体調の管理に気を付けたい時期です。節分の日には健康のためにも年の数だけいり豆を食べましょう。

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指の間の刺激で巡りアップ

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 寒さもピークのこの時期、手指や足先は末端の巡りが滞りがち。気付くと冷たくなっていませんか。今回は、指先や手の冷えに効くつぼを生かした体操をご紹介しましょう。
 つぼの名前は八邪(はちじゃ)。手足の指の付け根に合計八つずつあることから名付けられました。東洋医学では八邪に刺激を与えることで、代謝や血の流れ、気の巡りが良くなるといわれています。一つずつ押すのは大変なので、たたいたり握ったり、こすったりして刺激を与えますが、今回は握る体操を行います。
 左右の動きを交互に変えることで脳の運動も同時に行います。いつでもどこでも手軽にできるので、朝晩の歯磨きタイムなど鏡の前で姿勢を確認しながら行うと、さらに効果的でしょう。

手を握ってつぼと脳を刺激

(1)両肩の位置で両手の指先を伸ばします。

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(2)左手の親指が手前に来るように左右から両手を握ります。

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(3)指先を伸ばして元の両肩の位置に戻します。

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(4)右手の親指が手前に来るように両手を握ります。以上の動作を繰り返します。

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ポイント
正しい姿勢で行うとさらに効果もアップ。両手を広げる際は、肩甲骨を意識してみましょう。

2021年12月27日 (月)

雪のトンネルの向こう

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 1月5日は二十四節気の小寒(しょうかん)、20日は大寒(だいかん)です。一年の中で最も寒い時期に入り、雪国では積雪も増え、厳しい季節になっていきます。
 冬の間、雪や寒さを逆手に取って、おいしい野菜を作っている地域もあります。雪の下で育てる「雪下にんじん」や、あえて霜に当てて育てる「霜降り白菜」などです。寒さに耐えると甘味が増すということです。雪を生かして造るおいしいお酒もあります。「雪中貯蔵酒」です。搾りたての生酒が入ったタンクを雪室(ゆきむろ)などに入れ、雪で覆い尽くし、雪解けになるまでじっくりと熟成させます。雪の中では低温で一定に保たれるため、ゆっくりと均一に熟成され、まろやかでうま味の多い日本酒ができるそうです。
 大雪と厳しい寒さを乗り越えた先には、おいしいお酒が待っているということです。今から楽しみですね。

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手のひら回転体操

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 東洋医学では、人体には経絡(けいらく)と呼ばれる気と血液のエネルギーの通り道があるとされており、その経絡上につぼが点在しています。経絡は全身を巡り、さまざまな臓器や筋肉につながっているので、つぼを刺激することは全身にアプローチすることになります。
 手のひらにもたくさんのつぼがあります。つぼを刺激する方法として、「押す」「なでる」「もむ」「たたく」「震わせる」「こねる」の六つがあり、今回は「押す」と「なでる」を合わせた体操をご紹介します。
 手のひらを合わせ、つぼを押しなでるように互いをこすりながら回転させます。気と血液のエネルギーの巡りが良いと健康な状態が保たれます。どこでもできる簡単な体操なので、思い出したときにやる習慣を付けると良いでしょう。


つぼをこすりながら動かす

(1)手のひら同士を合わせます。両肘を張って腕を肩の高さまで上げ、床と平行になるように構えましょう。

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(2)手のひらの中心を軸にして、手のひらをこすりながら指先が上向きに動くよう回転させます。

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(3)途中で合掌のポーズになりますが、そのまま回転を続けます。

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(4)180度回転させます。手前に来る手が左右交代します。逆方向へも同様に回転させて1セットです。これを5、6セット繰り返します。

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ポイント
正しい姿勢を意識して背筋を伸ばし、できるだけ腕の高さを保ったまま行うと上半身の体幹も強化されます。

2021年11月26日 (金)

畑仕事に便利な農具 快適で楽しい作業にするために

園芸研究家●成松次郎

 農具はかつての「村の鍛冶屋さん」が、農作業の用途や土質に適した形に作り上げた道具です。そのため地域によって形状がさまざま。そろえておきたい代表的な農具を紹介します。
[土起こし作業](図1)
 荒れた畑は土が固く締まり、草の根がはびこっています。このような畑を起こすには、備中鍬(ぐわ)か唐鍬(ぐわ)を使います。備中鍬は3、4本の爪に分かれ、粘土質の畑でも土離れの良い刃型で、芋の掘り起こしにも重宝します。唐鍬は1枚の細身で肉厚の刃で、頑丈なので荒起こしに向きます。
スコップは土を運ぶ、穴を掘る、堆肥・肥料を土と混ぜるなどに使い、先のとがった剣先スコップは穴掘り作業に、先が平らな角スコップは運ぶ、混ぜる作業に適しています。
[畝立て作業] (図2)
 平鍬(くわ)は1枚の刃が付き、耕す、整地をする、溝を掘る、畝を立てる、土寄せするなどほとんどの作業がこれ1本でできます。平鍬の背側や側面を使って、整地作業もできます。長さや重さが体や体力などに合った物を選びましょう。農具を一つ選ぶとすれば、万能の平鍬です。また、効率良く整地作業をするには、熊手のようなレーキを使います。土中の雑草の根なども除去できます。最後に、畝をきれいに仕上げるには、板切れ(端材)を使い、表面をならします。
[除草、土寄せ作業] (図3)
 草削りには、片手鍬(ぐわ)、ホーとも呼ばれる半月形や三角形の軽量な鍬があります。柄が長く立ち姿勢で作業ができる三角鍬(ぐわ)は、土寄せ、溝切りにも使えます。
 草刈りには平鎌を使います。伸びてきた草を片手でつかみ、鎌先を地際から手前に引いて切断します。のこぎり鎌は、堅い草を刈るのに向いています。

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両手握りで集中力アップ!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 集中して仕事に取り掛からなければならないときや、ここ一番で集中したいときは、深呼吸したり背筋を伸ばしたりするものですが、同時につぼや神経が多く集中する手指を刺激することでさらに集中力が高まります。
 お勧めは両手を組んで握る体操です。指と指の間に、反対の手の指と指をずらしながら絡ませていく動きは普段やることがないので、集中力アップにもってこいです。脳の血行も促進され、認知機能の低下を予防することにもつながります。
 ゆっくりで構いません。呼吸を止めず、握って伸ばし、握って伸ばしという動き一つ一つを丁寧に行うと良いでしょう。


指をずらしながら両手を握る

(1)両手を軽く組み、左手の親指が上になるようにして、一度ぎゅっと握ります。

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(2)両手を開き、右手の親指が左手の人さし指と中指の間に来るように1本ずつずらして、両手を握ります。

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(3)右手の親指が薬指と小指の間に来るまで順にずらして握っていきます。

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(4)そこまで行ったら反対方向へ順に戻って(1)の状態からさらに進み、右手の親指が上になるところで1セットとなります。3~5セット続けましょう。

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ポイント
両手を組んだら一度、ぎゅっと握ります。両手を広げるときは指を伸ばすことを意識してください。