2021年10月29日 (金)

こたつ開き

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 気温10度以下は暖房が必要になる目安です。北日本では11月は連日10度を下回るようになりますが、東京や大阪、福岡では、最低気温が10度を下回るようになるのは、11月半ばごろからです。11月7日は二十四節気の「立冬」(りっとう)で、東京地方でも木枯らし1号が吹くころです。木枯らし1号は冬型の気圧配置になると吹きますので、冬が始まった証しです。
 江戸時代には亥(い)の月の亥の日を「こたつ開き」といい、この日にいろりに火を入れたり、こたつを使い始めたりしたといいます。亥の月は旧暦10月のことで、今の11月ごろです。亥の日は年によって変わります。2021年の亥の月の最初の亥の日は11月11日です。亥(いのしし)は火に強く、火災から逃れられるといういわれから、亥の月の亥の日から暖房器具を使い始めたということです。
 関東から西の地方も、そろそろ暖房が必要な時期です。

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鍵引き運動で指の力を鍛える

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 私たちは日々の生活の中で無意識のうちに指先を動かしています。食事で箸を使うときや、何かをつまむときなど、それぞれの動作に合った力加減で、指や手首の角度を調整し一連の動作を生み出します。しかし、指先の力が衰えてしまうと、日常生活のさまざまな動作が面倒になってしまいます。長年親しんだ手先を使った趣味なども苦になってしまい、気持ちが落ち込むことにもなりかねません。
 指先を動かす動作は、脳の若さにも関わってきます。今回ご紹介する指を引き合う運動は、5本の指の力を鍛えます。体力低下を防ぎ、体と心、脳の若さを保ちましょう。


第1関節同士を引き合う


(1)両手の人さし指を鍵のように曲げます。

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(2)人さし指の第1関節同士を絡めて、左右に引っ張り合います。1回10~20秒程度。

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(3)中指、薬指、小指と順に同じ運動を行います。各指5回程度行うと良いでしょう。

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ポイント
引っ張り合うときは、勢いをつけず徐々に力を入れます。人さし指だけでなく、普段鍛えることがない他の指も意識して鍛えましょう。

2021年9月29日 (水)

カレーのレシピのなんでだろう

食育インストラクター●岡村麻純

 次回のキャンプで、子どもたちに買い物から全て任せてカレーを作ってもらうことになりました。小学校に入ってからノートにまとめることが習慣になっている息子から、作り方をノートに書いていく中で、どうしてタマネギを先に炒めるの? さっき炒めたのになんで次は煮るの? 煮ると水が野菜に入るの? と次々と質問が飛び出し、思わず大学時代の教科書を広げてしまいました。
 カレーを作るときにタマネギをあめ色になるまで炒めるといいます。タマネギはもともと糖度の高い野菜です。しかし辛み成分も含むため、甘いというよりは辛いという印象です。そこで、加熱をすると辛み成分がなくなり、タマネギ本来の甘みが出てきます。また、炒めることがタマネギの水分を減少させ、濃度が増してより甘く感じられます。
 さらに他の野菜や肉も煮る前に炒めて、油でコーティングします。煮崩れを防ぎ、うま味が外に出にくくなる効果があります。中華料理では、炒める前に油通しという低温の油で短時間加熱する調理法がよく使われます。これも油でコーティングして、歯応えや見た目を良くするのが目的です。カレーを作るときも油で炒めてから、水で煮て具材を軟らかくします。
 煮る、ゆでる、蒸すなど、水による加熱をしたとき、肉や魚などは熱により変性して水分が抜けます。ニンジンも水分量が少し減りますが、ジャガイモなどでんぷんの多いものは、水分量は大きく変化しません。ニンジンは水温90度以上で15分ほど、ジャガイモは95度以上で10分ほどで軟らかくなります。
 息子のノートには、調理学の教科書で調べたカレーのレシピが書かれていました。人によってこだわりの違うカレーライス。私は子どもたちが食べやすいよう、水の代わりにトマト缶を使って煮込んでいます。子どもたちのカレーはどんなこだわりが詰め込まれるのか、楽しみです。

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岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。
公式ブログ:https://ameblo.jp/masumiokamura/

親指グーパーで巡りも脳も活性化

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 手を結んで開いて、を繰り返すグーパー体操は、脳を活性化する手軽な体操として認知症予防や介護予防などさまざまなシーンで取り入れられています。親指をしっかり握ることは、東洋医学では全身にエネルギーを送り込むといわれ、健康維持にも効果が期待できそうです。
 グーには、親指を手のひらの中に入れる場合と親指を外に出す場合があり、グーの握り方に変化を与えることで左右の脳を使い分ける運動になります。ステップ1でベーシックなグーパー体操を行い、慣れてきたらステップ2に挑戦してみましょう。


STEP1

(1)両手同時に同じグーパーを5セット繰り返します。最初は親指を手のひらの中に入れるグーで行います。

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(2)次に親指を外に出すグーで、グーパーを5セット行います。

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STEP2

(3)グーパー体操を繰り返します。このとき、1回目のグーは右手の親指を外に出し、左手の親指を中に入れ、2回目は逆で行います。これを5セット行います。

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ポイント
ゆっくりで構いません。「グー、パー」と声に出すと楽しくできますよ。

2021年8月31日 (火)

台風への備え

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 9月は過去に大きな被害を出した台風の襲来が多い月です。戦後間もない1945年の枕崎台風、1947年のカスリーン台風、1954年の洞爺丸台風、1958年の狩野川台風、1959年の伊勢湾台風、1961年の第二室戸台風。これらの歴史に残る台風は、いずれも9月に襲来しました。
 近年は地球温暖化の影響により、海水温が高い傾向が見られます。海水温が高いことは、台風が発達する条件の一つになります。さらに、温暖化により、夏から秋へ移り変わる時期が遅れ、台風を動かす上空の偏西風が弱まる傾向もあるといわれています。そうなると、日本付近で台風の進む速度が遅くなります。発達した動きの遅い台風が近づくと、風雨が強い時間が長引き、大きな被害につながる恐れがあります。台風への備えを今まで以上にしっかりとしておくことが大切です。

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手首回しで柔軟性アップ!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 体の機能は使わないと老化が進みやすくなります。特に骨と骨を結ぶ関節は硬くなると可動域が狭くなり、筋肉が緊張状態になります。体に余分な負担がかかり、不調につながります。つまり、関節の柔軟性と健康は密接な関係にあるのです。
 ここでは手首の動きを柔らかくする体操をご紹介します。腕や肩の筋肉の血の巡りを良くするので、肩凝りの人にも効果的です。両手を同時に行うので集中力も上がります。
 手首だけでなく、足首回しもセットにして起床後や就寝前の習慣にすると良いでしょう。柔軟性アップで、いつまでも健やかに!


両手を離さずぐるりと1回転

(1)こぶしを軽く握り、右手を上にして手の甲同士を合わせます。

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(2)手の甲同士をこするように手首を回転させていきます。ゆっくりでよいので両手が離れないように注意して。

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(3)1回転したら、左手が上に来ます。

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(4)回転し終わったところで指をパッと開きます。再びこぶしを握り、逆回転させて1セットです。これを3セット続けて行いましょう。

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2021年7月29日 (木)

家族の健康・夏に増える痛風発作

健康科学アドバイザー●福田千晶

 「農作業の後の冷たいビールが最高」という人も多いでしょう。さらに「仕事の後の酒が楽しみだから夕方は水分摂取はしない」という人もいそうです。しかし、特に夏は痛風発作を起こしやすいので要注意です。
 痛風は、足の親指などの関節が痛み「風が当たっても痛い」ほどの激痛が病名の由来です。
 痛風の原因になりやすいのは血液中の尿酸が多過ぎる高尿酸血症です。高尿酸血症は、尿酸が多く作られる場合と、腎臓からの尿酸の排せつが不十分なときに起こります。
 尿酸値は、人間ドックや健康診断などの血液検査で調べている場合が多いので、尿酸値が高いかどうかも確認しておきましょう。高尿酸血症の原因は、一般的に生活習慣の乱れが関わりがちです。多量の飲酒、特にビールの飲み過ぎは高尿酸血症の原因になります。ビールなら大瓶1本まで、日本酒でも1合まででやめておくことをお勧めします。
 また、肉類や魚など動物性食品を好み過食であり、肥満であることも高尿酸血症を起こしやすくなります。特にプリン体を多く含むビールをはじめとするアルコール、レバーなど動物の内臓、魚の干物、カツオやイワシなどは食べ過ぎず、肥満者は減量をしましょう。もちろん状況や高尿酸血症の程度によっては、内服薬での治療も必要になります。
 また、夏の農作業やスポーツなどで汗をかいて脱水状態になると、高尿酸血症が起こりがちです。健診時の尿酸値は正常範囲内であっても、脱水で一時的に高尿酸血症になると痛風発作を起こすことがあります。
 日頃から尿酸値を上昇させるような食生活は改め、飲酒は控えめに、汗をかくときは小まめに十分な水分摂取を行い、痛風発作を予防したいものです。ただし腎臓疾患や心臓疾患などで、水分摂取を制限されている人は主治医に相談してください。

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手のひらたたきで眠気を解消

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 仕事中や運転中に、いつの間にか眠気に襲われて……。そんな経験がある人は少なくないでしょう。日中の急な眠気は、集中力が低下して仕事の効率もダウンします。特に夏の暑さは自律神経に負担をかける要因になり、眠気や集中力の低下を招きやすくなります。
 そんなときの対処法として、手のひらたたき体操をお勧めします。どちらがグーかパーか、どちらの手でたたくか、瞬間的に使い分ける運動能力が身に付いていきます。一見シンプルな体操ですが、集中力が必要で、脳への刺激も期待できます。
 いつでもどこでもすぐにできる体操なので、覚えておくと便利です。ぬるめのお風呂、質の良い睡眠、栄養バランスの取れた食事を腹八分目など、生活習慣を見直すことも夏の暑さに負けない秘訣(ひけつ)です。


手のひら、こぶしを続けてたたく

(1)右手のこぶしで、左手のひらをたたきます。

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(2)左手のこぶしで、右手のひらをたたきます。

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(3)右手のひらで、左手のこぶしをたたきます。

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(4)左手のひらで、右手のこぶしをたたきます。以上の(1)~(4)の体操を続けて繰り返します。

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ポイント
最初はゆっくりで構わないので、「イチ、ニ、サン、シ」と声に出しながら正確に行いましょう。3回ほどスムーズに繰り返せるようになったら、少しずつスピードを上げましょう。

2021年6月30日 (水)

線香花火

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 梅雨が明けると夏本番です。例年7月後半に梅雨明けの地域が多くなります。お盆を過ぎると朝晩中心に夏に陰りが見えてきます。盛夏と呼べる期間はだいたい2~3週間と、日本の夏は短いものです。
 真夏の夜に静かに線香花火を楽しむのも良いですね。線香花火は火花の散り方が四つのステージに分けられます。初めは「牡丹(ぼたん)」。牡丹が咲き誇るように火花が力強く飛び出します。次は「松葉」。激しく直線的に火花が飛び出すさまが松の葉に例えられています。火花の勢いが弱まると、「柳」の葉のようにしなだれるようになります。最後は菊の花びらが散るように火花が落ちる「散り菊」です。線香花火は春から秋への歩みを表現しているかのようで、最後は燃え尽きるまで長く余韻を残します。
 線香花火を見ながら、季節の移ろいに思いをはせてみませんか。

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指の間こすりで体調スッキリ!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 日本の夏は高温多湿で水分が不足しやすく、その一方で冷たい飲み物の取り過ぎにも気を付けたいもの。体の水分代謝が悪くなると、むくみや胃腸不良、重だるさなど、すっきりしない症状が出ることも。
 今回は、八邪(はちじゃ)というツボを刺激する体操を紹介します。指と指の間にあるツボは両手を合わせて8カ所あり、まとめて八邪と呼ばれます。八邪は東洋医学では気が滞りやすい場所と考えられており、刺激を与えることで代謝や気の巡りが良くなるといわれます。
 やる気が出ないときや眠気を覚ましたいときにも効果的。簡単なのでパソコン作業の合間やおしゃべりしながらなど、気付いたときにやってみると良いでしょう。


八邪の位置。指の間の水かき部分(手の甲側)にあります。

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ツボの刺激で気の巡りを良くする

(1)指を伸ばして両手の指の間を合わせます。八邪同士が合わさるように。

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(2)右手を上下に動かし、八邪を軽くたたくように根元までこすります。

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(3)次に左手を上下に動かし、八邪を軽くたたくように根元までこすります。

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(4)両手を同時に動かしてこすります。気持ち速めのリズムで繰り返し、(1)~(4)を各30秒程度行いましょう。

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