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2016年5月

2016年5月27日 (金)

大雨警報

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一般財団法人日本気象協会●檜山靖洋

 梅雨入りの季節を迎えます。近年は梅雨入り直後からかなりの大雨に見舞われることも少なくありません。普段から大雨による災害に備えておくことは大切です。
 ところで、気象の警報や注意報は市町村ごとに地域を分けて発表されます。では、自分の住んでいる市町村に大雨警報が出たら、すぐに避難しようと思いますか? 思わない人が多いでしょう。警報が発表されている地域の中でも、危険な場所はある程度限られます。
 大雨による土砂災害や浸水は、発生しにくい場所もあります。住んでいる場所や通勤通学経路などに危険な場所があるか知っておく必要があります。各自治体のホームページなどで、ハザードマップが公開されていて、土砂災害や浸水の危険がある場所を確認できます。近くに危険がある場合は、大雨警報が出たら積極的に避難してください。

豚の種類とおいしさの特徴

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日本獣医生命科学大学応用生命科学部教授●西村敏英

 ビタミンB1が豊富な豚肉は、日本の食卓には欠かせない身近な存在です。スーパーなどの食肉売り場では、三元豚、SPF豚、黒豚など、さまざまな表示の豚肉が並びます。
 三元豚は、肉質の良い雑種の豚を作るために、複数の品種を掛け合わせています。その中でも特定の地域や牧場で独特の方法で育てられている三元豚は、肉質や味に違いがあり、ブランド豚として扱われています。
 SPF豚とは、特定の病原菌に汚染されていない、清浄な環境下で飼育された健康な豚です。黒豚は、きめ細かい肉質で風味が良いかごしま黒豚、沖縄のアグーなどが有名です。最近ではドングリだけを食べさせて育てたスペインのイベリコ豚、ハクサイやお茶の葉を発酵させて作った餌を食べさせて育てた中国の金華豚など、風味や香りの良い豚肉も見掛けるようになりました。
 日本の東京で生まれた東京Xという新しい銘柄の豚肉もあります。かごしま黒豚・北京黒豚・デュロック種を掛け合わせた豚肉です。大きな特徴は、他の豚肉の2倍のビタミンを含んでいることです。生産量が少ないため入手困難ですが、東京都内のデパートの食品売り場や限られたレストランで食べられます。
 豚肉の部位は、ロース、モモ、ヒレ、バラなどがあります。ロースは、赤身と脂身が霜降り状になっていて風味が抜群で、どんな料理にも使えます。モモは、ソテー、酢豚やカレー、シチュー、八宝菜などがお薦め。ヒレは柔らかく、ビタミンB1が豊富。ヒレカツ、ソテーに向いています。バラは、脂身が多く敬遠されがちですが、豚の脂肪にはコレステロールを低下させるオレイン酸やステアリン酸が含まれています。ブロックは角煮やカレー、薄切りは豚汁や炒め物など、調理法を工夫するとお年寄りも食べやすくなります。
 さまざまな種類の豚肉を、食べ比べてみると違いが分かります。好みの豚肉を使って、食卓を豊かに彩りましょう。


西村 敏英(にしむら としひで) 農学博士。著書に『最新畜産物利用学』『食品の保健機能と生理学』などがある。 2003年日本家禽学会技術賞受賞、2004年日本農芸化学会英文誌優秀論文賞受賞。

歯の健康と8020運動

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佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 ここに出てくる8020運動(はちまるにいまるうんどう)という言葉は、わが国で展開されている歯の健康づくりのための運動のことで、「80歳になっても20本以上の歯を常に保持していよう」ということを目標にしています。
 歯が抜けてしまうのは、虫歯と歯周病が主な疾患です。ほとんどの人が毎日歯を磨いていますが、多くの人は虫歯になったことがあり、歯周病の疑いがある人も約8割に上ります。これは歯磨きのやり方が悪く、きちんと磨けていないことを示しています。
 虫歯と歯周病を防ぐために、歯に付く汚れである歯垢(しこう)をしっかり取り除くことが必要です。そのためのポイントとしては、歯と歯茎の間に、毛先がしっかり入るくらいの力で磨きます。磨く力が弱過ぎると歯垢がうまく取れません。
 歯周病を防ぐためには、歯と歯茎の境目を意識して磨きます。歯と歯茎の境目は、歯垢がたまりやすく、歯周病が起こりやすい場所です。
 歯の内側も一本一本丁寧に磨きます。最も磨き残しが多いのは歯と歯の間です。タフトブラシや歯間ブラシも使ってみましょう。
 どんなに丁寧に歯を磨いても、本当に磨けているかどうかは自分では分かりません。そこで重要になるのが歯科での定期検査です。歯科での定期検査では、虫歯の検査、歯周病の検査、歯石の除去などが行われます。積極的に受診してください。
 歯垢が硬くなったのが歯石で、歯磨きでは除去できないため歯科で取り除く必要があります。
 虫歯は1年に1~2回、歯周病は約3カ月置きに定期検査を受けるといいといわれています。