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2016年10月

2016年10月31日 (月)

雪を迎える季節

一般財団法人日本気象協会●檜山靖洋

 雪国ではそろそろ雪の季節を迎えます。雪を迎える時期の目安としている現象がいくつかあります。
 小春日和の抜けるような青空の下、銀色にキラキラと光って流れてくる物が見えることがあります。山形県の米沢地方でよく見られる現象です。体長数mmの小さなクモの多くが、上昇気流に乗って、空中に糸を流しながら漂う現象です。この現象が見られた日の後には、雪が降ることから「雪迎え」と呼ばれています。小春日和の日差しで地面が暖かくなると、弱い上昇気流が発生します。このクモは熱に弱いため、この上昇気流に乗って、地面から上空へ飛び立つようです。
 北海道では、雪虫と呼ばれるアブラムシの仲間が、大量に飛ぶとそろそろ初雪が降るといわれます。
 昔から雪国では、虫たちの天気予報で雪の季節を迎える準備をしています。

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サツマイモの上手な収穫と貯蔵法~あなたもチャレンジ! 家庭菜園

板木技術士事務所●板木利隆

 初夏から盛夏にかけて盛んにつるを伸ばしてきたサツマイモは、やがて収穫の時期を迎えます。芋の肥大経過をたどってみると、通常8~9月には半数以上が50g以上にもなり、その後急生長し10月中旬~11月に入ると肥大は緩やかになりますが、霜が降りるころまで少しずつ太り続けます。
 自家菜園では必要に応じて探り掘り(株元に手を差し込み、適当に肥った芋だけを収穫する)、あるいは早掘り(株全部を掘り取る)して、8~9月ころから秋の味覚を楽しむようにしましょう。
 本格的な収穫の適期は、10月下旬~11月で、肌寒さを感じ、初霜も近くなった頃です。初霜が降りると若い葉が枯れるので、すぐ分かります。何回か降霜に遭い、多くの葉が黒く枯れ上がったら待ったなし、急いで全部掘り上げてください。収穫日はできるだけ畑が乾いていた方が芋のためにも作業のしやすさのためにも好都合です。
 収穫の手順は、まずつるの株元部分を探り出し、地際のつるを地上4~5cm残し、鎌で刈り取ります。刈り取ったつるを畑の外へ運び出し、畝を丸裸にし、マルチフィルムを剥がしてから、芋を傷つけないよう注意して株元に大きくくわを打ち込み、芋全部を掘り出します。
 その際注意すべきことは、つるは強大で大きく絡み合っているので、畑の中で50~60cmほどの長さに鎌で切り分けて、畑から運び出しやすくしておくことです。また、掘り取る際に、貯蔵予定の芋は、つるから外さないよう注意して扱い、容器に入れて丁寧に持ち運ぶようにしましょう。
 刈り取った大量のつるは、畑の隅などに堆積して乾かしておきます。このつるは堆肥材料としてもよく、特に来春のトマトなど果菜類の元肥溝に、粗大堆肥材料として施すと、大きな役割を果たしてくれます。
 貯蔵方法は、水はけの良い場所を選び図のように深さ70~80cmの穴を掘り、底の部分に稲わらを敷き、つるの付いたままの芋を傷つけないよう丁寧に重ね入れます。収め終わったら上にも稲わら、もみ殻を覆います。貯蔵の適温は13度、湿度は90%が目安です。
 少量の貯蔵なら、芋を新聞紙にくるんで、保湿性の高い発泡スチロールの箱に入れ、室内の冷暗所に置くだけで十分です。


※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。


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子どもの誤嚥・誤飲

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 「誤嚥(ごえん)」と「誤飲(ごいん)」は、言葉の響きは似ているけれども、その内容はまったく違います。
 「誤嚥」とは、通常なら食道へ送り込まれるはずの食物や唾液などが、何らかの理由で誤って咽頭、気管に入ってしまう状態をいいます。これが原因で起こる病気に「誤嚥性肺炎」があります。
 もう一方の「誤飲」は、食物以外の物(特に体に有害な物)を誤ってのみ込んでしまうことです。誤飲に多い物としては、硬貨、待ち針、プラスチックの小物、ピンなど、たばこ(特に吸い殻)、瀬戸物製品、金属類(針、くぎなど)、小型電池、洗剤などがあります。2、3歳までの子どもがいる家庭では、こういった誤飲されやすい物は机上や床上に置かないことが大事です。
 鋭い縁がない硬貨などは、待っていれば数日のうちに便と一緒に排出されることもありますが、食道の途中に引っ掛かっているときは食道の壁に穴が開くことがあるので、早めに取り出さなければなりません。
 子どもの傷害予防の第一人者、山中龍宏医師の、食べ物による誤飲誤嚥窒息の予防方法を紹介します。
 まず3歳になるまでは、乾いた豆類や乾いた豆類が入っているチョコレートは食べさせません。食事中に子どもの肩をたたいたり、大声で呼んだり、びっくりさせたりしない。薄い小片になる食べ物は禁物。生のニンジン、セロリ、リンゴなどは、つぶしてから与える。ソーセージやフランクフルトは小さく切り、ソーセージの外皮は剥ぐか、輪切りにするのではなく、縦に割いてから切ります。プチトマトなど球形の場合には2つないし4つに切ります。
 家庭での注意事項として、寝た姿勢で食べたり、歩きながら、遊びながらの「ながら食べ」は絶対しないこと。車や電車、飛行機の中では、豆類は食べさせないこと。急停車や揺れが誤飲を招くことがあります。

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