2023年6月29日 (木)

遠くにあっても台風に注意

気象予報士●檜山靖洋


 例年、子どもたちの夏休みに合わせるかのように、本州付近では梅雨明けとなります。子どもの頃には、海水浴、旅行、キャンプ、花火大会と、夏の楽しみがめじろ押しで、夏休みと梅雨明けが近づくと、とてもウキウキしたことを思い出します。
 海水浴に行く前には、晴れていても雷雨がないか、風が強く波が高いかどうかなど、天気予報を確認しましょう。ただ、穏やかな天気でも油断しないでください。思わぬ高い波がやって来ることがあります。原因は、遠くの海にある台風からのうねりです。遠くの台風からのうねりが入ると、平均してそれほど波が高くなくても、1000波に1波は、2倍以上の高さの波がやって来ることがあります。3時間に1回程度、大波が来るということです。
 遠くに台風があるかどうかもチェックして、台風がある場合は無理をしないようにしてください。

P33_06otenki_4c



気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

手足を伸ばして深呼吸

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 今回は「伸ばす」をテーマにした体操をご紹介します。同じ姿勢が長時間続く、または特定の筋肉を使い過ぎると血流が滞り、疲労物質がたまって筋肉が硬くなります。筋肉は関節と連動しています。関節の曲げ伸ばしがスムーズにできることで血流が良くなり、体の可動域が広がったり、運動能力が向上したりします。
 農作業はもちろん、事務作業などが多い方にもお勧めです。つぼを刺激し、深い呼吸を意識しながら体操して日頃の疲れを癒やしましょう。


日中使った筋肉を伸ばす

(1)いすに浅く座り、足を肩幅程度に開きます。両手首を外側にひねり、親指と人さし指の間を膝の上に付けます。腕を伸ばして体重を膝にかけ、腰から背中を伸ばします。

P29_06teasi_01_4c


(2)腰の後ろに手を回し、左手首を左にひねりながら手の平を下に向けて、右手を使って指を反らします。指や腕を伸ばし、胸を開いて伸ばします。反対の手でも行います。

P29_06teasi_02_4c



(3)左足を右足の上に引っかけ、右腕を伸ばして左肘で抱えます。上体を左へゆっくりひねって肩や脇の筋肉を伸ばします。反対側も同様に行います。

P29_06teasi_03_4c


(4)左手の合谷(ごうこく:人さし指と親指の骨が交差するくぼみ部分で、人さし指の内側辺りにあるつぼ)を右手の親指で押さえます。そのまま頭の後ろに両腕を回し左側へ傾け、右腕と脇の筋肉を伸ばします。反対側も同様に行います。

P29_06teasi_04_4c



(5)左手首を右手の親指と中指で押さえます。ここにはつぼが複数あります。左手首を右へ引っ張りながら首を右に倒して、首と肩を伸ばします。反対側も同様に行います。

P29_06teasi_05_4c



(6)膝の下を両手で抱え、尻の後ろと太ももの裏側を伸ばします。このとき、足首をゆっくり大きく左右に5回ずつ回し、膝から下の筋肉を動かします。反対側も同様に行います。

P29_06teasi_06_4c



ポイント
(1)〜(6)の伸ばす体操を20秒ずつ行います。伸ばすときは、口から息をゆっくり吐き、その後も息を止めずにゆっくり呼吸を続けます。

2023年5月30日 (火)

夏至の太陽

気象予報士●檜山靖洋


 夏至の頃の晴れた日、強い日差しにうなだれて歩いていると、地面に落ちた影がとても短いことを実感します。夏至の太陽は、一年で最も高くなります。夏至の正午ごろ、沖縄では地面と太陽の角度が90度近くになり、太陽はほぼ真上にあります。東京でも地面と太陽の角度は78度の高さになります。このように影の短さ、太陽の高さを実感できるのも晴れていればの話です。
 沖縄では例年6月下旬に梅雨が明け、強い日差しが照り付けますが、本州付近は梅雨真っ盛りの時期です。ただ、この時期に梅雨の中休みが続いたり、早く梅雨が明けたりするときは、強烈な日射による熱中症に注意が必要です。
 夏至は一年の中で最も昼間の時間が長く、夜は短くなります。あまり夜更かしし過ぎると、明け方すぐに明るくなり、眠れなくなってしまいますので、気を付けましょう。

P33_05otenki_4c


気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

手足のグーパー体操で全身の巡りを促進

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 体を動かしやすい季節です。今回のテーマは「巡り」。手足の指と同時に肘や膝も動かし、全身の血液、気の巡りを良くしてデトックスしましょう。
 血行不良は冷えやむくみの原因になるので、体を動かす習慣を取り入れることが大切です。座ってできる手足のグーパー体操なら、いつでも無理なく行えるので続けやすいと思います。
 ビートの効いた音楽をかけながら音に合わせたり、『うさぎとかめ』や『とんぼのめがね』など童謡に合わせて歌いながらなど、工夫しながら楽しく体操するのがお勧めです。グループでも楽しめます。アイデア次第で応用できるので、ご自身の体操のレパートリーにぜひ加えてみてくださいね。


内回し・外回しの両方向に回す

(1)肘を曲げ伸ばしながらグーパーの体操を行います。両手を握ったときに肘を曲げます。

P29_05teasi_01_4c


(2)両手を開いたときには肘を伸ばし、全ての指先を伸ばします。まずは、(1)から(2)を10回程度行って動きに慣れましょう。

P29_05teasi_02_4c


(3)(1)と(2)の動作に慣れたら、いすに座った状態で足の動きを加えます。肘を曲げて両手を握ると同時に、腹筋に力を込めて右膝を引き上げます。

P29_05teasi_03_4c


(4)両手を開いて肘を伸ばしたときに足を下ろし、再び肘を曲げて両手を握るときに今度は左膝を上げます。(3)から(4)の動作を10回繰り返します。

P29_05teasi_04_4c



ポイント
慣れてきたら少しずつテンポを速めてみましょう。
両手を開くときは、1本1本の指の関節をしっかり伸ばすことを意識するとより効果的です。

2023年4月26日 (水)

街路樹に守られ癒やされ

気象予報士●檜山靖洋


 5月の連休の頃になると、学校の運動会やスポーツ観戦、屋外のレジャーなどで、思わぬ日焼けをしてしまうことがあります。まだ真夏ほど蒸し暑くないため油断しがちですが、5月の日差しの強さは、真夏と同じくらいで、紫外線も十分強いです。外を歩くときは日陰を選びたいですね。
 ケヤキやイチョウなどの街路樹の葉は、春からどんどん大きくなり、日差しを遮るようになってきました。冬には地面全面に日が当たっていた歩道も、この時期は大部分が日陰になっています。街路樹の葉が日傘の役割をして、紫外線から守ってくれています。
 また、樹木が出すフィトンチッドという良い香りの物質により、ストレスが軽くなる効果もあります。この時期は湿度がまだ低いため、日差しを避ければ、とてもすがすがしい空気が味わえます。街路樹が並ぶ通りを歩くのが気持ちのいい季節です。

P33_04otenki_4c



気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

ぐるぐる回して柔軟性アップ

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 手指に加え、足も使った体操をご紹介していきます。今回のテーマは「回す」です。手足の指や手首足首を回して、柔軟性を高めましょう。
 年を重ねるとともに体の柔軟性は衰えていきます。手足の指を動かすことは血行促進だけでなく、脳に刺激を与えます。また、足首が硬いと股関節の動きまで悪くなり、体のゆがみにつながることも。指の関節や手首足首の関節を回して柔軟性を高めると、体の代謝機能が上がり、脳も活性化します。
 座りながらできる体操です。動かしやすさに左右で差がないか、痛みはないか、体の声に耳を傾けながら回しましょう。


内回し・外回しどちらも回す

(1)足の指を回します。いすに腰をかけ、足を組むように片方の足をもう片方の太ももに乗せます。乗せた方の足首を反対側の手でつかみ、親指から小指の順に、関節をほぐしながら、内回りと外回りに10回ずつ小さく回します。反対の足も同様に行います。

P29_04teyubi_01_4c


(2)次に足首回しです。足指を回していた手の指を、足の指の間に組むように絡ませます。もう一方の手で足首を少しずらして固定し、円を描くように足を内回りと外回りに、10回ずつ回します。

P29_04teyubi_02_4c


(3)手の指を回します。爪の生え際を押さえて指をつかみます。指の力を抜いてリラックスさせ、内回りと外回りに10回ずつ小さく回します。

P29_04teyubi_03_4c


(4)手首を回します。手を軽く握った状態で両手首を同時に、内回りと外回りに10回ずつ回します。手が離れていると回しづらい場合は、両手の指を組んだ状態で回してもOKです。

P29_04teyubi_04_4c


ポイント
ゆっくり無理のない範囲で回しましょう。気持ち良く動かせるようなら回数を増やすのもお勧めです。

2023年3月30日 (木)

成長著しくワクワク

気象予報士●檜山靖洋


 新年度となり、進学や就職、異動などで新生活が始まる人も多いのではないでしょうか。4月の思い出というと、私は新生活で緊張したことばかりが浮かんできます。でも、4月も終わりごろになると気候はとても良くなり、新年度の緊張感も取れて、ワクワクするような気分になります。
 4月5日は二十四節気の清明(せいめい)です。文字通り、空気は清らかに澄み渡り、日差しは日に日に力強く明るくなる季節です。4月20日は穀雨(こくう)です。穀物を成長させる雨が降る頃です。この時期は、決して雨が多いわけではありませんが、周期的に降る雨と暖かい晴れの天気が植物の成長を促します。4月の初めには小指の先ほどの大きさのイチョウの葉も、4月終わりには手のひらくらいの立派な葉になります。植物も新生活が始まった新人も成長が著しく、なんだか心がワクワクする季節です。

P29_03otenki_4c


気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

大切なものは見慣れた風景の中に!

田んぼソムリエ●林 鷹央


 日本の風景といえば何を思い浮かべますか? 海外の人なら浮世絵の富士山や、日本をぐるりと取り巻いている海の風景かもしれません。でも、見慣れた日常生活の中で人々が日本らしさを感じるのは、四季折々の田んぼを中心とした「里山の風景」でしょう。春に田植えの準備が始まる頃、田んぼの周りでは小さな草花が咲き、虫も出てきて里山がにぎわい始めます。
 もともとはヨシに覆われた湿地を、先祖たちが田んぼに作り変えてきました。毎年手入れをしないとすぐにヨシが生えてしまうので、農作業を続けることで維持されている風景なのです。しかし最近は若い人たちが都会に出て行ってしまい、田んぼの手入れをする人が減ってしまいました。放置され荒れてやぶになったり、山の斜面や田んぼにメガソーラーパネルを設置してしまったりと「里山の風景」が失われてきています。
 世界の人口が増え続け、やがて食料や肥料などの資源の輸入は難しくなります。田んぼは日本人の主食である米を作ります。山には肥料になる落ち葉や、建築資材、薪炭材(しんたんざい=まきや炭などの燃料用として使用する木材)という資源が眠っています。森林の木々は田んぼに来る水を蓄えてくれています。私たちが見慣れた風景の中に、本当に大切なものがあります!


田植え前の棚田風景

P23_03sdgs_01_4c


田んぼソムリエ
林 鷹央(はやし たかお)
三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。

2023年2月24日 (金)

ライオンの季節

気象予報士●檜山靖洋


 子どもの頃の学校の帰り道、道端の綿毛をふーっと飛ばして、よく遊びました。早春から咲きだすタンポポの話です。タンポポの花や綿毛の様子を思い出すことは簡単だと思いますが、葉の形は思い出せますか? ギザギザしていると答えられれば大正解です。この葉の形がライオンの歯に似ていることから、タンポポの英語名は、ライオンの歯を意味する「ダンデライオン」といいます。
 英国の天気のことわざで、「3月はライオンのようにやって来て、子羊のように去る」というものがあります。低気圧が発達し、風が強まり荒れた天気となることが多い時期ですが、嵐が過ぎ去った後は、穏やかな春の日差しが降り注ぎます。
 3月はライオンの季節です。何かと忙しい年度末ですが、「獅子奮迅」の働きで頑張りましょう。

P29_02otenki_4c


気象予報士・防災士
檜山靖洋(ひやまやすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

グーとパーの体操でエネルギーを循環

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 介護施設でも好評のグーとパーを使った体操をご紹介します。運動が苦手な人や高齢者でも行いやすく、かつ効果の高い体操です。基本の動きができるようになったら、体操の動きのリズムに合わせて「いち、に、さん、し」と声に出して行うとなお良いです。
 今回が手指体操の最終回です。手指体操は手指の筋力を鍛えるだけでなく、手の指先から足の指先まで全身の血行を促し、内臓諸器官の働きを高め、脳の若さを保ち、心と体の疲れも癒やす体操です。健やかな毎日を送るために、今までご紹介してきた手指体操の一つでも続けていただければ幸いです。皆さんの健康寿命が一日でも延び、毎日が豊かになることを祈っています。


グーとパーを交互に

(1)左手をパーにして手の甲を外側に向け、右手はグーにして左手に付けます。

P28_02teyubi_01_4c


(2)次に右手をパーにして手の甲を外側に向け、左手はグーにして右手に付けます。(1)と(2)を10回繰り返します。

P28_02teyubi_02_4c


(3)左手をグーにし、右手はパーにして手の甲を外側に向け、中指を左手に付けます。

P28_02teyubi_03_4c


(4)次に右手をグーにし、左手はパーにして手の甲を外側に向け、中指を右手に付けます。(3)と(4)を10回繰り返します。

P28_02teyubi_04_4c



ポイント
(1)から(4)を1セットに5回繰り返します。ゆっくりで良いので動きを正確に行うことを意識しましょう。パーは手のひらの筋肉も伸ばすイメージで指先までしっかり伸ばします。