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2017年4月

2017年4月 3日 (月)

認知症をオープンにする

公益社団法人●認知症の人と家族の会

■認知症の方
男性、42歳、要介護1
 初期の認知症である私は、見た目には普通の人と何も変わりがないため、物事を頼まれることもあります。しかし、それに応えようとしてもできないこともあり、そのことで全てが嫌になってしまいます。
 そこで私は、アルツハイマー型の認知症であることをオープンにしようと思いました。そのことを理解してもらうことで、サポートしてくれる人がたくさんいることを知ったからです。とはいえ、まだまだ認知症に偏見を持っている人もたくさんいます。そこで、両親や妻と娘たちに相談したところ、「あなた(パパ)は悪いことをしているのではないのだから、何も心配することはない」と言って賛成してくれました。私はその言葉で、オープンにしようと決めたのです。
 私は、自分が認知症になったことを恥ずかしいとは思っていません。好きでなったのではないし、なろうと思ってもなれるわけでもないのですから。別に何も周囲の人たちと変わりがなく、ちょっと記憶が悪いくらいで、これも個性だと思えばおかしくありません。認知症になったことを恥ずかしいと思うことの方が、ずっと恥ずかしいと私は考えます。
■アドバイス
 ご家族の理解と心強い支えがあったからこそ、認知症であることをオープンにする勇気を持てたのだとお察しします。それでも、いつまで仕事を続けられるかという不安はおありでしょう。認知症になっても周囲の人の少しの支えがあれば、「できないこと」ができるときもあります。それが自信にもつながるのでしょうが、決して無理をなさらず「今、できること」に全力を尽くされることを願っています。

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認知症の人と家族の会…http://www.alzheimer.or.jp

朝ご飯のススメ

管理栄養士・雑穀料理家●柴田真希

 一日のスタート。朝食はきちんと食べていますか? 少しでも長く布団の中にいたい気持ちも分かりますが、10分だけ早く起きてしっかりと朝ご飯を食べることをお勧めします。
 「朝ご飯をしっかりと食べている人の方が成績が良い」とは、よく聞きますが、サラリーマンにいたっては「朝ご飯を食べる人の方が年収が良い」というデータもあります。
 これは、勉強や仕事をするときに活動する「脳」の唯一のエネルギー源がご飯などに含まれる炭水化物が分解されてできるブドウ糖だからと考えられます。朝ご飯をしっかりと食べないと、ぼーっとした状態で午前の時間を有効に使えていないことになるのです。また、成績や仕事の効率だけでなく、朝ご飯を食べそしゃくをすることで血行が促進され肌つやも良くなります。女性はお化粧の時間の短縮にもつながるだけでなく、余計な化粧品代がかからなくて済むかもしれません。体温も上がりやすくなるので、冷え症などの改善にもつながります。
 お勧めの朝食はやはり「ご飯とみそ汁」。加えて納豆やさけの塩焼き、お漬物などがあれば、もういうことはありません。最近はスムージーなどもはやっていますがスムージーはそしゃくができないというデメリットもあります。食べながらあご周りのエクササイズはできないのです。しっかりとかんで顔の血色を良くするにはご飯の方が良いでしょう。
 もしも朝食を家で取る時間がない人は「おむすび」にするのもお勧めです。お弁当を作るお母さんは朝から少し作業が増えてしまいますが、成績アップ、年収アップのためにも愛情込めたご飯でおむすびを作ってみてはいかがでしょうか。

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柴田真希(しばたまき) 株式会社エミッシュ代表取締役。Love Table Labo.代表。管理栄養士、雑穀料理家、フードスペシャリスト、1級惣菜管理士、健康食育シニアマスター、漢方養生指導士(漢方スタイリスト)。著書に『女子栄養大学の雑穀レシピ』(PHP出版)『おなかやせ定食』(主婦の友社)などがある。


休める日本が地方を潤す

ノンフィクション作家●島村菜津

 大分県宇佐市の安心院(あじむ)という農家民宿で頑張っている地域をご紹介したいと思います。
 この町へは『九州のムラ』という雑誌に招かれて、遊びに行ったのが最初です。1980年代からの農家民宿の先進地で、そのきっかけは、そもそもブドウ作りとワイン造りの里として、国もこれを奨励し、張り切っていたところで、安い外国からのワインが輸入されるようになり、300軒近くあったブドウ農家は、一気に80軒ほどに減り、これも先行き不安だというので、ドイツなどの先進地を見学した上で踏み切った一つの策が、農家民宿による活性化でした。近頃、私もとんとご無沙汰していて、これを書きながら心苦しいのですが、子どもが幼い頃には、自然に触れさせたいと、貴重な卵拾いやうどん打ちの経験もさせていただきました。本物の田舎を教えたいと、イタリアの友人たちを連れて行ったこともあります。
 なぜ、ここであらためて、安心院の農家民宿の話をしたいかといえば、それは、日本という国の働き方が、今、もっと良くならなければ、農家民宿は軌道に乗らないからです。地方の活性化には、休める日本が不可欠なのです。
 「安心院のグリーンツーリズム研究会」の会長を務め、ブドウ農家でもある宮田静一さんが、2年前に上京し、大学の専門家たちも巻き込み、何とかメディアを動かそうと四苦八苦しています。「もう連続有給休暇が取れない会社の役員は、処罰を受けるくらいの法的規制が必要です」と宮田さんの言葉に力がこもるのは、1980年代から言い続けても、なかなか変わらないからです。昨今も上場企業の過労死が話題になっていますが、日本では、いまだに年にまとまった休みさえ取れない若者たちがあふれています。
 2011年のデータでは、フランスやスペインの平均有給休暇の取得日数が30日、イギリスやスウェーデンが25日に対し、日本はわずか5日。先進国としては劇的に低いのです。中国でさえ1999年にバカンス法を制定、国内のリゾート地を活性化に導いたそうですし、フランスでは、連続12~24日の休暇という規定を設け、地方の経済に貢献したそうです。1970年に改定された国際労働機関によるILO132号条約では、「年間最低3週間の有給休暇の付与」と「最低2週間の連続休暇の付与」とが義務付けられていますが、日本はまだ批准していません。日本の休み方が変わり、高い交通費がもう少し解消されれば、都市住民に、どれだけ田舎に足を運ぶゆとりが生まれることでしょう。
 日本全国の農家民宿や温泉場、長期滞在型の農村観光を模索する地域は、今こそ、安心院のバカンス法制定の動きに連動し、「もっと休める日本を!」の声を上げるべきです。盆や連休に集中する休暇をもっと分散するだけでも、地方は大いに助かるのです。

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(上)安心院の農家民宿で供された「ウエルカムおにぎり」
(下)「バカンス法制定」に向けて連動しようと呼び掛ける安心院のグリーンツーリズム研究会の宮田静一会長(宇佐市安心院町の宮田ファミリーぶどう園の「巨峰」の畑で)


島村 菜津(しまむら なつ) ノンフィクション作家。1963年生まれ。東京芸術大学美術学部イタリア美術史卒。イタリアでの留学経験をもとに『スローフードな人生』(新潮社)を上梓、日本にスローフードの考えを紹介する。『スローな未来へ』(小学館)『そろそろスローフード』(大月書店)『スローシティー』(光文社)など著書多数。

おにぎりダイエット


管理栄養士・雑穀料理家●柴田真希

 これからだんだん薄着の季節になり、気になるダイエット。しっかりとエネルギー(カロリー)管理したいけど、なかなか難しい……。そんな人にお勧めなのが「おにぎりダイエット」です。パンよりも脂質の割合の低いご飯はダイエットに最適。コンビニなどのおにぎりもだいたい1個100gなので計算がしやすいのです。100gのご飯は168kcal。のりや具材も入れるので、だいたい1個180 kcalとしましょう。
 年代や生活活動強度にもよりますが、1日の推定エネルギー必要量は男性で2500 kcal、女性で2000 kcalです(※)。
 男性だと1日8個、女性で6個のおにぎりを食べると、ご飯6割:おかず4割のバランスが取りやすくなります。もちろん毎食おにぎりを食べることもないと思うので、お茶わんの場合はおにぎりくらいの量、と目安にしてください。
 これだけのご飯を食べて、残りをおかずにすると余分な脂質や塩分を取らずに済みます。
 他にもおにぎりにするメリットがあります。一つは「レジスタントスターチ」。初めて聞いた人も多いかもしれませんが、温かいご飯が冷めることでできるレジスタントスターチは難消化性でんぷん、つまり糖として吸収されにくいでんぷん(スターチ=starch)なのです。 もちろん炊きたてのおいしいご飯をわざわざ冷やすことはないですが、冷たくてもおいしいおにぎりはそのままいただきましょう。
 でんぷんには糖として吸収されやすいスターチと吸収されにくいスターチ(レジスタントスターチ)があったのです。
 しかも、同じでんぷんでも加熱後冷やすことにより、レジスタントスターチの量が増えるのです。
※1日の推定エネルギー必要量(kcal) 生活活動強度II(普通)

柴田真希(しばたまき) 株式会社エミッシュ代表取締役。Love Table Labo.代表。管理栄養士、雑穀料理家、フードスペシャリスト、1級惣菜管理士、健康食育シニアマスター、漢方養生指導士(漢方スタイリスト)。著書に『女子栄養大学の雑穀レシピ』(PHP出版)『おなかやせ定食』(主婦の友社)などがある。

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