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2018年2月

2018年2月28日 (水)

山火事が多い季節

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 2017年の全国の火災発生件数を月別に見ると、3月が最も多くなっています。また、その火災の中でも春先は山火事が多く発生する季節です。降水量が少なく、空気が乾燥しやすい上、山焼きなどの山の手入れが始まったり、山菜採りで山に入る人が増えたりするためです。
 1991年3月7日には、茨城県日立市で大規模な山火事が発生しました。その日は冬型の気圧配置が強まり、北西風が強く吹いていました。さらに、水戸市で最小湿度16%を記録するなど、空気はカラカラに乾燥していました。
 気象庁は、数日前からの湿度を考慮に入れて計算される「実効湿度」と当日の「最小湿度」を基に乾燥注意報を発表します。つまり、木材がどれくらい乾いていて燃えやすいかどうかが基準ということです。乾燥注意報が出ているときは、いつも以上に火の取り扱いに注意しましょう。

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かむことは食べるエクササイズ

管理栄養士・雑穀料理家●柴田真希

 「運動」や「エクササイズ」というと、筋力トレーニングやジョギングなど体を動かさないといけないと感じる方も多いですが、食べることでもエネルギーが消費されることをご存じでしょうか。食べているだけでエネルギーが使われるとはうれしいですが、食べ方次第で、これがうまく使われなくなってしまいます。
 食事をすると消化・吸収されて体内に取り込まれますが、「消化」とはどこからがスタートでしょうか。腸に入ったとき? 胃まで届いた瞬間? 口の中に入れてかんでいるとき?
 実は、これら全て不正解で、答えは「おいしい」と感じたときからです。キッチンから煮物の良い香りがしてきたり、目の前に照り良いステーキが運ばれてきたりしたら、自然と唾液が出てきます。これは消化器官が食べ物を受け入れる準備を整えてくれているサイン。消化器官がしっかりと動くことで食事によって使われるエネルギー(食事誘発性熱産生)が増えます。
 しかし「食べるのが早い(早食い)」「何かをしながら食べる(ながら食い)」「いつも食べる物は一緒」「1人で食べる」という行為は食事誘発性熱産生がしっかりと使われません。
 しっかりとかむことも同じです。スムージーやポタージュのようなスープだけの食事ではすでに消化しやすい状態のため胃や腸がしっかり動くことができません。これらは調子の悪いときや食事がしっかりとできなくなったときに食べる流動食と同じ。しっかりとかめる食事を選ぶことも大切です。粉食であるパンや麺類をしっかりかもうとするのはなかなか難しいもの。口の中に入れて数回かんだら飲み込んでしまいます。しっかりかむならやはり粒食のお米。さらによくかんで食べたいときは雑穀や玄米を入れて炊いても良いかもしれません。
 かむことは食べるエクササイズ。エネルギーが使われるだけでなく、しっかりとかめば顎周りのストレッチにもなり表情がすっきりします。

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柴田真希(しばたまき) 株式会社エミッシュ代表取締役。Love Table Labo.代表。管理栄養士、雑穀料理家、フードスペシャリスト、1級惣菜管理士、健康食育シニアマスター、漢方養生指導士(漢方スタイリスト)。著書に『女子栄養大学の雑穀レシピ』(PHP出版)『おなかやせ定食』(主婦の友社)などがある。

野菜の栄養、おいしく無駄なくいただきます!

健康のため、意識して野菜を取ることを心掛けている人は多いはず。実は、その調理法を変えるだけでもっと効果的に栄養を取ることができるんです。今注目の書籍『その調理、9割の栄養捨ててます!』を監修したお2人に教えていただきました。

驚きの新事実!
知らないと損する栄養の取り方

野菜の栄養成分は減っている!?

 現代人は野菜不足だといわれています。時間に追われるライフスタイルや食生活の乱れなど、私たちを取り巻く環境が大きな要因ともいわれています。だからこそ野菜を頑張って取ろうと心掛けている人もいるでしょう。しかしながら、野菜の栄養成分は昔に比べて激減しているのです。例えば、50年前と現在で、一般に売られている野菜の栄養成分を比べた場合、ニンジンのビタミンAやホウレンソウの鉄分は80%以上も減少、キャベツのビタミンCは半分近く減っています。特に減少が顕著なのは、ビタミンやミネラルですが、それだけでなく精製技術が発達したことで主食である米などの他、穀類の栄養も減っています。

野菜を無駄なくいただく

 ならばなおのことしっかり野菜を取ろうと思われるのではないでしょうか。しかし、ただたくさん食べれば良いというものではありません。同じ野菜でも、調理方法によって体に届く栄養素の量に違いがあるからです。
 調理法とは、切り方、加熱の有無、保存方法、食べ方、食材の組み合わせなどですが、今までの調理法では、実は栄養分の9割以上も失っていた(ロスしていた)、などということも考えられます。野菜の栄養分を逃がさない調理法を知り、しっかりと栄養が取れる食べ方を心掛けるようにしましょう。

効率良く栄養を取る

 野菜の皮や葉、根、種子など、いつも捨てていた部分に栄養がたっぷり詰まっていることが多いのです。例えばジャガイモやゴボウ、ダイコン、ニンジンなどの根菜類は、皮のすぐ下に栄養がたっぷり。カボチャやピーマンのいわゆるワタの部分には、普段食べている部分にはない栄養成分が含まれています。農家の方々が丹精込めて栽培している野菜を、感謝の気持ちと共に無駄なく調理したいものです。

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東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士、濱裕宣さん(左)と赤石定典さんにお話を聞きました。学祖である高木兼寛氏の教えに基づき、患者に麦ご飯を提供しています。また、野菜の栄養をしっかり取れる月に1度の慈恵オリジナルカレーも好評です。

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今日からすぐに生かせる知識が満載! 『その調理、9割の栄養捨ててます!』 監修:東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 発行:世界文化社 定価:1,400円+税

病院食レシピの先駆けである東京慈恵会医科大学の監修により、最新の知見に基づき食材の栄養素を最大限生かす調理法をまとめた一冊。切り方、加熱の有無、保存方法、食べ方、食材の組み合わせなどを食材ごとに分かりやすく紹介しています。