2020年12月24日 (木)

背筋も凍る

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 気温がマイナス50度以下になると、「星のささやき」が耳元で聞こえるといわれます。誰もいない所で何も知らずに星のささやきを聞いたら、背筋も凍る思いをしそうです。星のささやきとは、耳元でかすかに聞こえる人の吐く息が凍る音のことです。
 日本の最低気温の一番低い記録は、旭川市で1902年に観測されたマイナス41度です。マイナス40度以下になると、飛んでいる小鳥やカラスが凍死して落ちるといわれます。このような光景を目撃したら、それこそ背筋も凍ります。
 マイナス4度以下で起こりやすいのが水道管の凍結です。水道管内の水が凍結すると、体積が膨らみ水道管が破裂してしまいます。屋外に露出し空気にさらされている水道管は凍結しやすいため注意が必要です。露出した水道管に布などを巻き、水道栓を開いて水を少し流れる状態にしておきましょう。

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大きな動きのグーパーで血行促進

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 いよいよ寒さも本番です。この時期は体が縮こまりやすく、血行も滞りがち。肩凝りをはじめ、関節痛や首痛など〇〇痛がこの時期に多く現れるのは、寒さで筋肉が収縮して硬くなることが大きな原因の一つです。
 今回は、腕の曲げ伸ばしなどの大きな動きを取り入れて血行を促進し、肩凝り解消にも役立つ体操をご紹介します。
 2秒間で伸ばし、2秒間で曲げる、をゆっくりしたペースで繰り返し、30秒ほど行います。痛みが出る場合は無理して行わず、できる速さ、できる範囲で行いましょう。
 座ったままで行える簡単な体操なので、デスクワークや勉強の合間に行うと良いでしょう。


動きに合わせてグーパー

(1)両肩の位置で両手を握ります。肘を少々後ろに引いて背筋も伸ばします。

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(2)両腕を前に伸ばし、指先まで元気よく開きます。

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(3)両肩の位置に戻して両手を握ります。

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(4)腕を上へ伸ばして指先を開きます。(1)~(4)の動きを繰り返します。

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ポイント
動かすときには反動はつけず、「イチ、ニ、イチ、ニ」と声に出しながら行うとリフレッシュにもなりお勧めです。

応用
(1)のときに両手を開き、(2)では伸ばした両手を握るというように、グーとパーを逆にやってみましょう。

2020年11月30日 (月)

指先合わせは脳の老化防止の第一歩

手軽に健康 手指体操

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 師走の忙しい時期にお勧めなのが、この指先合わせです。指先体操の中でも最も小さな動きをする体操で、気持ちにも負担をかけません。ごく簡単な動きですが、指先合わせをするだけで自然に意識が指先に向けられます。それだけでも十分に脳に刺激を与えることになるのです。
 1秒程度のリズムで繰り返し、30秒ほど行いましょう。合わせる指先の順番や速さ、合わせる回数を変えるなどいろいろなパターンで行えば、さらに効果アップ! 気持ちに余裕のあるときはトライしてみましょう。
 指先でキツネを作る指遊びにも似ています。ご家族で一緒に遊びながらやるのも一興です。


親指と他の指を順に合わせる

(1)左右の親指と人さし指の指先を合わせます。

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(2)親指と中指の指先を合わせます。

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(3)順番に、親指と薬指の指先を合わせ、親指と小指も合わせていきます。(1)~(3)を何度か繰り返します。

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野菜もの知り百科:サトイモ(サトイモ科サトイモ属)

土壌医●藤巻久志

 ジャガタライモの名前が変化してジャガイモ、薩摩(鹿児島)から伝わったからサツマイモ、山で取れるから山芋、里で作るからサトイモ。芋類はでんぷんなどの養分を蓄えた部分が食用となります。ジャガイモは茎が肥大した塊茎、サツマイモは根が肥大した塊根、山芋は茎と根の特性を持つ担根体です。サトイモは塊茎ですが、外観が球状なので球茎ともいいます。
 青シソの別名は大葉ですが、名前ほど大きな葉ではありません。サトイモの葉はとても大きく、ロータス(ハス)効果によって、雨が降ると水玉と一緒にほこりが流れ、葉がきれいになります。水玉自体も透明で軟らかくきれいです。畑でなくても、日当たりの良いベランダで深さ30cm以上の大型プランターで栽培すれば、観葉も収穫も楽しめます。
 サトイモは種ではなく、種芋で増やします。種から増やす植物を種子繁殖、種芋や挿し木などで増やす植物を栄養繁殖といいます。栄養繁殖の親と子はまったく同じ遺伝子を持ち、形質もまったく同じです。
 同じ根菜類に分類されるダイコンやニンジンの地下部は1本しかできませんが、芋類は複数個できます。サトイモは光合成をする葉が大きいので、10個以上できる品種が多いです。一般にサトイモは親芋の周りに子芋が付きます。代表的な品種の「土垂(どだれ)」や「石川早生」は子芋に孫芋が付きます。
 混雑することを「芋の子を洗うよう」といい、この芋はサトイモです。昭和時代にはモーターで回る水洗い機を店頭に置き、皮をむいたサトイモを売る八百屋がありました。それを飽かずに見ていた団塊の世代は、家でも学校でもまさに「芋の子を洗うよう」な生活をしていました。
 「里芋や昭和は遠くなりにけり」です。今はサトイモを電子レンジでチンすれば、皮はつるんと簡単にむけます。

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藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


2020年10月30日 (金)

入浴で体を癒やす

健康科学アドバイザー●福田千晶

 徐々に気温が下がり、農作業でも朝夕は寒さを感じることもあるでしょう。
 そんな寒さを癒やしてくれるのが入浴です。シャワー浴だけではなく、やはり湯につかって温まることがお勧めです。湯に入ると、まず温まる、つまり温浴効果があります。そして、血行が良くなります。体の隅々まで、酸素や栄養分を届けてくれるのは、血管の中を流れる血液です。各部位で生じた老廃物を回収してくれるのも血液です。
 血管を流れる血液は体内の大事なライフラインです。血行が良くなると、血液によって全身に豊富な酸素や栄養が届けられ、老廃物はスムーズに運び去られます。体調管理に温泉を活用するのも良い方法です。各地の温泉ごとにさまざまな効能があります。自宅のお風呂でも、炭酸入りの入浴剤を入れれば、血管が適度に刺激されて血行が良くなります。
 湯につかることで、水圧のマッサージ効果もあります。水の圧力によって、腕や足にも軽い圧力がかかり、血行を助けてくれたり、むくみを解消してくれたりします。農作業などで同じ姿勢を続けていたために、疲れた筋肉も水圧で癒やされます。入浴後に足が軽くなっていることが実感できるでしょう。
 水は浮力もあるので、陸上で立ったり座ったりしているときに体を支えている筋肉も、水や湯の中では小さな力で体を支えられます。つまり、入浴中は筋肉もホッとできる時間となり、癒やし効果が倍増されます。
 夜は寝る90分くらい前に体温を上げておくと寝付きやすくなります。体が温まりそれが冷えていくと眠りやすいので、睡眠の悩みのある人も、夜のゆったり入浴はお勧めです。この時期は40度程度のぬるめの湯につかってリラックス、夜はぐっすり眠りたいですね。入浴後は水分補給を忘れずに。

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指のすれ違い体操で脳を活性化

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 脳を活性化させて日々を元気に過ごしましょう。今回紹介するのは、1本ずつ指先を動かす体操です。
 特定の指を1本ずつリズミカルに曲げ伸ばしすることで集中力が鍛えられます。指を曲げる運動だけでなく、伸ばす運動も同時に行っていることがポイントです。つまり、指を伸ばす力も鍛えられるのです。
 動かしている指以外の指は動かさないよう、ゆっくりでもよいので正確に動かすことを心掛けましょう。最初は1秒間に1回曲げ伸ばす程度の速さで繰り返し、指ごとに30秒ほど続けます。慣れてきたらスピードアップに挑戦してみましょう。


指を1本ずつ屈伸させる

(1)左右の手のひらと指を合わせ、人さし指だけをしっかりと曲げます。他の指は動かないように合わせたままです。

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(2)人さし指を元の位置に戻して全ての指先同士を合わせます。

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(3)人さし指を組み替えてしっかりと曲げます。(1)~(3)の動きを繰り返します。

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(4)同様に他の指同士でも行います。薬指や小指でも行ってみましょう。

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2020年9月30日 (水)

野菜もの知り百科:サフラン(アヤメ科クロッカス属)

土壌医●藤巻久志

 植物は形や名前が似ていても、一方は食用になり健康に貢献し、他方は猛毒を含み食べると生死に関わることがあります。スイセンの葉をニラと間違えて食べてしまい、嘔吐(おうと)や下痢をする食中毒が毎年のように起こっています。
 サフラン(アヤメ科クロッカス属)とイヌサフラン(コルチカム=イヌサフラン科イヌサフラン属)は名前も花形もよく似ています。サフランの雌しべはフランスの寄せ鍋ブイヤベースやスペインの炊き込みパエリアには不可欠で、血行改善や疲労回復などの効果があるといわれています。イヌサフランは全草に猛毒のコルヒチンを含んでいます。
 サフランの原産地は中東で、日本には江戸時代に薬として伝わりました。明治時代に神奈川県大磯で栽培されるようになり、その後大分県竹田市に産地ができました。竹田市には瀧廉太郎の『荒城の月』のモデルになった岡城跡があります。
 竹田市のサフランは秋に室内で開花させて雌しべを丁寧に摘み取ります。露地栽培で開花させて収穫した物と比べると衛生的です。竹田市産は雌しべが大きく、色鮮やかで香味も良く、品質が世界一といっても過言ではありません。
 サフランは球根を土に植えると葉が先に出てから開花しますが、植えないでおくと花が咲いてから葉が出てきます。サフランの花は室内で水をまったくやらないで咲かせることができます。薄紫色の清楚(せいそ)な、ほんのり甘い香りのする花を楽しめ、赤い雌しべを取ることができます。花が咲き終わった株をプランターに植えておけば、翌年5月に分球で増えた新しい球根が取れます。
 サフランの雌しべに含まれているクロシンは、アルツハイマーの改善向上に期待されています。子どものときに歌った曲も脳を活性化させます。団塊の世代が後期高齢者になります。サフラン料理を食べ、『荒城の月』を歌いましょう。

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藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


指の曲げ伸ばしで頭も体もすっきり

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 10月になれば朝晩は涼しく過ごしやすくなります。頭もさえ、まさに「灯火親しむべし」季節。頭も体もすっきりとさせる体操をご紹介します。
 両の手のひらを合わせ、指を絡ませたり伸ばしたりすることで脳へ刺激を与え、手の甲のつぼ刺激にもなります。また、手のひらを合わせることで体温、滑らかさや硬さ、湿り気や乾燥具合など、普段、意識を向けないような皮膚の感触を味わってみることもお勧めします。実は、この動作は安心感や心身を整える働きがあるともいわれます。
 自分の内面のケアも行える、シンプルですが奥の深い体操でもあるのです。秋の夜長、手指体操で頭すっきり、心身穏やかなひとときを。


手指の触れ合う感触も味わう

(1)左手の親指が手前に来るように握ります。指先に力を込めると手の甲のつぼ刺激になります。5秒ほどかけて息を吐きながら、じんわりと力を入れます。

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(2)手の力を抜いて指を伸ばし、手のひら、指先を合わせます。このとき触れ合う手指の感触も味わってみましょう。これも5秒ほど。

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(3)右手の親指が手前に来るように両手を握ります。(1)と同様に5秒ほどかけて息を吐きながら、じんわりと力を入れて。(1)~(3)の体操を繰り返します。

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2020年8月28日 (金)

台風シーズンの不調「気象病」

健康科学アドバイザー●福田千晶

 台風は、農業に従事する人にとって、作物の被害の心配や農作業がはかどらないなど、大きな悩みの一つでしょう。大雨の前に、頭痛や目まい、疲労感、関節痛や肩凝りや腰痛、その他の不調でつらい人がいます。これは「気象病」とも呼ばれています。これからの台風シーズンなど、前日に比べて気温が10度以上もしくは、気圧が10ヘクトパスカル以上も変動すると、気象病の症状が現れる人が増えます。
 気象病は体のいろいろな部分の状況変化で起こりますが、特に耳の奥にある内耳が気圧の変化に敏感です。乗り物酔いも内耳の揺れで起こる点で気象病に似ています。内耳の情報が脳に伝達されていますが、過剰な情報が伝わると、体は「こんな大変なときに、出歩くと危険がいっぱい、活動しない方が良い」と判断して、家にいて静かに寝たい体の状態になるのでしょう。
 そうはいっても、やるべき仕事はたくさんあるし、休んでもいられない日もあります。台風が接近し「体調が悪いけれど、今日は頑張らないと……」というときは、本当につらいですよね。
 対策としては、乗り物酔いの薬を飲むと楽になることもあります。市販薬がありますから薬局やドラッグストアでも入手できます。ただし、持病の悪化や症状が激しい場合には、主治医などの医療機関に相談してください。
 その他に簡単にできる対策としては、耳のマッサージがあります。耳を上下左右に引っ張る、耳を上下に軽く折るようにしたり、耳たぶも折るようにマッサージしてみると良いでしょう。耳の周囲の血行が良くなることで、内耳のリンパ液の滞りが解消されて、症状が治ることがあります。どこにいても手軽にできるので、試す価値はあります。
 関節痛や腰痛は、冷やさないことも大事です。まだ暑いですが膝など意外に冷えていることもあるので注意して、元気に過ごしたいですね。

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振りかぶり体操で疲れを解消

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 残暑で疲れが出る頃です。暑さに頑張って耐えてきた体の疲れは気付かないうちに溜まっている場合が多く、全身の疲労感、倦怠(けんたい)感、無気力、食欲不振などの症状が出てきます。疲れを秋に持ち越さない体操を紹介しましょう。
 今回は合谷(ごうこく)というつぼを使います。このつぼは万能のつぼで、ストレスやイライラの解消をはじめ、胃腸の調子を整える、肩凝り・歯痛・頭痛、目の疲れの緩和、風邪のひき始めなど幅広く効果があるといわれています。
 合谷を押さえながら姿勢と呼吸を整え、疲れを癒やします。腕や肩を大きく動かすことで血行も促進され、気分スッキリ、代謝アップにも役立ちます。


【合谷のツボ】
手の甲側で、親指と人さし指の骨と骨の間にあります。両手を握ると上に組んだ親指がちょうど当たるところです。手を組んだまま親指で押してつぼをほぐします。

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ツボを刺激しながら腕を動かす

(1)左手の親指が手前になるように握ります。このとき、右手の親指で左手の合谷を押さえて刺激します。

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(2)握った状態で、背筋を伸ばして息を吸いながら5秒ほどかけて腕を頭の上、できれば後頭部まで持っていきます。そこで息を止めて3秒ほど数えたら、10秒ほどかけて息を吐きながら(1)の位置に戻します。これを5回繰り返します。

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(3)左右の手を替えて(1)(2)を行います。
◆注意:肩に痛みのある人は無理せず、腕が上がるところまででOKです。

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