2018年7月31日 (火)

おやすみ前の体操で快眠を

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 皆さん、よく眠れていますか。
 寝付きが悪いと翌朝の目覚めがすっきりせず、日中の活動に影響が出ます。寝付きを良くするポイントは、体温の変化です。就寝前に手足が冷たいままだと、なかなか寝付けません。体が一度温まった後、そこから体温が下がり始めるときに眠くなります。
 夏の不眠が多いのは、部屋をエアコンで冷やし続けたり、冷たい飲み物ばかり飲んだりするのが、原因の場合も多いのです。
 体温が下がり、血液の流れが悪くなると手や足先から冷えます。今回ご紹介する体操は寝る前に手足を動かして体を温め、指先を柔らかく動かして血の巡りを良くします。慣れてきたら、手指の動きに合わせて足の指も動かすとより理想的。就寝20~30分前に、ゆったりした呼吸でリラックスして行います。寝付きをスムーズにして質の良い睡眠を取りましょう。


手指を動かして温めましょう

ステップ1

(1)左右の手のひらを合わせて、上下にこすります。10~30秒ほど、手が温かくなるまで、手のひら全体をできるだけ大きくこすります。

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(2)合わせた手のひらをこすって右手を上にずらしていきます。

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(3)右手の指先を曲げて、左手の指先を包み込みます。次に反対の左手を上にずらしたタイミングで右手の指先を包み込みます。この動作を交互に繰り返します。

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ステップ2

(1)ステップ1の動作に合わせて、同時に足の指も動かします。椅子に座り、左手で右手を包み込んだとき、左足の指先を曲げます。

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(2)右手で包み込んだときには、右足の指を曲げます。手の動きに合わせて交互に繰り返します。

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2018年6月27日 (水)

認知症を防ぐ

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 認知症の原因には、脳血管型とアルツハイマー型の二つがあります。
 前者は高血圧や糖尿病などで脳の血管が障害されて、脳の神経細胞が広範囲に障害されるタイプです。後者は原因はよく分かっていませんが、脳の神経細胞が障害され、脳が萎縮するタイプです。これらを予防するには、40代から対策を始めておかなくてはなりません。
 脳血管型では、高血圧や糖尿病をしっかり治しておくこと。アルツハイマー型では、脳を鍛えることで、ある程度は予防できることが分かってきました。
 東京都健康長寿医療センターでは、認知症予防に役立つ方法をいろいろ研究していますが、低下しやすい認知機能の主な三つの機能、すなわち「エピソード記憶」「注意分割機能」「計画力」について、重点的に鍛える方法を勧めています。
 エピソード記憶というのは、比較的最近の出来事や、実際体験したことを覚えていて、その記憶をきちんと思い出すことができるという機能です。この機能を鍛えるには、例えば、昨日の昼食に何を食べたかをはっきり思い出す訓練をするとか、日記を付ける場合、今日の日記ではなく1日前や2日前の日記を書いてみることです。
 注意分割機能は、二つや三つの作業を同時進行しながら、うまく実行できる機能です。たまった新聞や手紙などを手際よくまとめたり仕分けしたりする行動や、二つ以上の料理を同時に作る作業が有効です。
 計画力を鍛えるには、例えば複数の店で食品や日用品などの買い物をするときに、どのように移動したら効率的なルートになるか考えてみることです。また、旅行のプランを立てたり、囲碁や将棋、マージャンなどでさまざまな作戦を考えるのも、計画力の鍛錬に役立ちます。

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指・手のひらストレッチで肩凝り解消!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 便利で快適な暮らしが実現する一方、現代社会では多くの人がストレスにさらされています。過度のストレスは心身のバランスを崩し、健康を損ねる原因になります。今回はストレスを和らげるといわれるつぼを利用した手指体操です。
 手のひらのほぼ中央に「労宮」というつぼがあります。中国では古くから不老長寿のつぼといわれています。ここを親指で押しながら、呼吸に合わせて押されている手の指を一本一本曲げたり伸ばしたりします。
 手首の周りは、重要なつぼがいくつもある場所でもあります。手首を指でつかんだ状態で回すことでつぼを刺激する運動もお勧めです。これらの体操で気分をリフレッシュさせましょう。


つぼを刺激しながら手指を動かす


ステップ1

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(1)「労宮」は手のひらのほぼ中央にあります。ストレスを和らげる他、精神統一、集中力を高める効果もあるといわれます。

(2)左手のひらの「労宮」を右手の親指で押します。押した状態で息を大きく吐き出します。続いて左手の親指、人さし指……と順番に指を曲げていきます。

(3)指が全て曲がったら、呼吸を止めて1秒置いて、息を吐きながら小指から一本一本指を広げていきます。息を吐き切ったら、この動きをもう一度やってみましょう。反対の手も同様に行います。


ステップ2

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(1)左手首を右手の親指と人さし指で包み込むように押さえます。ゆっくり息を吸います。

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(2)息を吐きつつ左手のひらを前へ出し、回転する左手首のつぼをこするように刺激します。同様に右手首も行います。

2018年5月31日 (木)

たかが1mmされど1mm

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 梅雨がやって来ます。およそ1カ月半にわたり長雨の季節となり、降水確率を気にする日も増えると思います。
 天気予報で発表される降水確率は1mm以上の雨が降る確率です。1mmの雨は、1平方mに1Lの水が降ってくる量です。結構ぬれる雨になります。1mm以上の雨の降る日は、例えば東京では年間100日くらいあり、27%くらいの割合です。ということは、降水確率30%は、平均より雨が降りやすいと考えることもできますので、降水確率30%を基準に、それより高い場合は、雨具を用意すると判断してもよさそうですね。
 ちなみに50mmの雨が降れば、1平方mに50Lもの量になります。1時間に50mm以上降ると、排水が追い付かず道路冠水などの被害が出ることがあります。どれくらいの雨が降っているか、雨量もチェックして災害には注意しましょう。

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指・手のひらストレッチで肩凝り解消!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 パソコンやスマートフォンの普及により、肩凝りを訴える人が多くなりました。そこで今回は、肩凝り対策も兼ねた指・手のひらストレッチをご紹介しましょう。普段はあまり動かすことのない手の内側を伸ばします。
 手の内側には、呼吸を整え、心の疲れを和らげる経絡が流れていて、ストレッチで経絡の流れがスムーズになります。経絡とは、東洋医学でいう「気と血液の通り道」で、経絡の流れが滞ると体のバランスが崩れ、不調が起こりやすくなると考えられています。
 指・手のひらストレッチでは両腕も併せて使うことで、心身がほぐれると同時に、肩凝り解消につながります。明日から仕事の効率アップを図りましょう。


肩甲骨を意識しながらストレッチ

ステップ1

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(1)背筋を伸ばし、胸の前で左右の指先を合わせます。

(2)左右から押しながら指を反らします。手のひらは付けず指先から指の根元までを合わせます。

(3)そのまま指先の向きを少し変えてみましょう。中指の先を自分の胸に向けてみます。

(4)指先を気持ち良く反らせる方向を探してみましょう。(1)から(4)までをゆっくり数回繰り返します。


ステップ2

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左右の肩甲骨を近づけるイメージで両肘を左右に開いて構えます。目安は自分では見えない位置に両手があること。軽くこぶしを握り、この姿勢からステップ1を行い、再び両肩の位置まで腕を戻し、こぶしを握ります。この動作を5回繰り返します。

2018年4月27日 (金)

新ジャガ、新タマネギの季節

食育インストラクター●岡村麻純

 この頃になるとスーパーでつい手に取ってしまうのが、新ジャガイモ、新タマネギです。
 暖かくなりだすと目にするこの新ジャガイモ、新タマネギ。通常、ジャガイモやタマネギは、収穫した後貯蔵され、その後一年中安定的に出荷されています。しかし、この新ジャガイモや新タマネギは収穫してすぐに出荷されます。また、新ジャガイモは通常より早めに収穫され、小粒で皮が薄くみずみずしいのが特徴です。新タマネギは通常のタマネギのように乾燥をさせていないので、柔らかく、辛味も少なくなります。まだまだ味付けもせず野菜本来の味を知ってもらいたい離乳食の時期には、この新ジャガイモと新タマネギはうれしい存在です。
 栄養面に注目していくと、新ジャガイモは普通のジャガイモよりもビタミンCが多く含まれます。さらに野菜は皮の近くが最も栄養が豊富な部分。皮が柔らかい新ジャガイモならば皮ごと食べられるため、より無駄なく栄養をいただくことができます。また、タマネギの栄養といえば、辛味成分である硫化アリルです。これはビタミンB1の吸収を助けてくれる他、血液をさらさらにして動脈硬化を抑えてくれるといわれています。そんな硫化アリルは水に弱いため、タマネギの辛味を取ろうと長く水にさらすと、この硫化アリルも水に溶け出してしまいます。また熱にも弱いため、生で食べることができる新タマネギは、タマネギのいいところを丸ごといただくことができます。加熱するときは油を使う方が成分を残したまま食べることができます。
 この二つに共通することは通常のものより水分量が多いということです。そのため、長期保存は向いていません。買ってきたら袋から出し新聞紙などでくるみ、風通しが良く、光の当たらない冷暗所への保存が必要です。取れたての野菜は、できるだけ早くおいしいうちにいただきたいです。

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岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。
公式ブログ:http://ameblo.jp/masumiokamura/

指ツボ刺激で目覚めすっきり! 眠気を防ごう

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 指先を使うことは、脳にも良い働き掛けとなります。脳に流れる血液の量を増やし、程よい刺激が脳に送られます。
 指先には末梢(まっしょう)神経や毛細血管が集中し、全身の健康と密接に関わるツボが集中しています。つまり、指先を動かすことで全身の血の巡り、気の巡りを良くする効果があります。指先から心臓や脳を、優しく刺激してあげましょう。運動不足や体調がいまひとつでも負担が少ないのでお勧めです。
 5月は眠気が出やすい季節です。この体操で血行が促進されるので、眠気もすっきり覚ますことができるでしょう。眠気が強いときは、繰り返し行うと効果的です。指の間は疲れがたまりやすい場所でもあります。今回の体操は、指の間の疲れを取りながら、指先のツボを刺激していきます。なお、この体操1セットにつき、30~60秒程度かけて行うのが目安です。

指先をまとめて刺激しましょう

(1)手のひらを下に向けて、指先を軽く曲げます(指は強く握らないこと)。

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(2)手のひら側に指先が交互に重なるようにして、そのまま左右の指を組み合わせます。親指も重ねます。この状態で息を吸います。

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(3)息を吐きながら両手のひらを近づけていきます。このとき、指先に刺激がぐんぐんと入ります。指を組んだまま、手のひらを閉じて、また開いてを繰り返しましょう。

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(4)そのままの状態で手首を柔らかく回しましょう。反対方向にも回します。

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2018年3月30日 (金)

お弁当のご飯も安全に!

管理栄養士・雑穀料理家●柴田真希

 新年度に入り、新生活でお弁当をスタートさせる方もいらっしゃるのではないでしょうか。春先はまだ涼しいですが梅雨の季節からだんだん気になってくるのが食中毒。お弁当を安全に楽しむために衛生面で気を付けるポイントを三つご紹介します。
(1)ご飯もおかずもよく冷ましてから詰めること
 お弁当を開けると、ふたに水滴が付いていたら、しっかりと冷まし切れていないサインです。水滴はお弁当を詰めるときに温かかったご飯やおかずから出た水蒸気がふたに付いたもの。細菌はこうした水分から繁殖することが多いので気を付けるようにしましょう。対策としてはしっかりと冷ましてからお弁当箱に詰めること。ご飯は一度お皿などに必要分を取り分けて広げておくと早く熱を取ることができます。おにぎりなども同様です。熱々を握ってそのままラップなどに包むと蒸れてしまいますので、きちんと冷ましてから包むようにしましょう。
(2)素手で触れないこと
 おにぎりなど素手で握ることがあると思いますが、手に傷があるときなどは特に食中毒の原因となることもありますので注意しましょう。ラップや衛生手袋などを使って握る方が安全です。周りに塩をまぶすことで抗菌作用も高まります。お弁当箱にご飯を詰めるときは衛生的なしゃもじを使うようにしましょう。
(3)まぜご飯を避ける
 塩分が効いているので、安心かも?と思いがちですが、多くの食材が混ざったピラフやチャーハン、炊き込みご飯などのまぜご飯は傷みやすいので避けましょう。白米や雑穀ご飯など、ご飯そのものがベストです。さらに傷みにくくするために少量の酢を入れて炊くのも良いでしょう。ご飯の上に梅干しかごま塩をふりかけるのも良いですね。
 おかずはいろいろと気に掛けますが、おろそかになりがちなご飯。安全にお弁当箱に詰めて楽しいランチタイムにしましょう。

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柴田真希(しばたまき) 株式会社エミッシュ代表取締役。Love Table Labo.代表。管理栄養士、雑穀料理家、フードスペシャリスト、1級惣菜管理士、健康食育シニアマスター、漢方養生指導士(漢方スタイリスト)。著書に『女子栄養大学の雑穀レシピ』(PHP出版)『おなかやせ定食』(主婦の友社)などがある。

手指体操で脳の老化を防ぎましょう!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 手や指の動きは、ほとんど意識することもなく、また、使う筋肉や神経も限られています。ここでは、手や指を動かすことに意識を向け、脳の神経に刺激を与えることを提案していきます。
 人間の脳の優れたところは左右の動きを使い分けられること。手指体操は、手指の動きを左右で変えるだけでなく、スピードの変化や声を使うなどバリエーションは無限大。短期的な記憶の連続となり、やればやるほど脳が元気になって健康寿命を延ばすことにもつながります。
 大事なことは実践と継続です。手指体操は手軽で簡単。道具も不要です。時間も数分でOKです。コミュニケーションの手段として、農作業前の準備運動として、就寝前のひとときなど、日常生活に取り入れて楽しみながら毎日続けてみましょう。

ステップ1
最初に手を握り(グー)、次に指先を全て伸ばす(パー)。これを繰り返します。最初はゆっくりで構いませんが、秒針の速さを目安にしましょう。時間は一つの体操を1回につき3分を目安に。どの指も元気よく指先までしっかり伸びますか。第二の脳といわれる手を動かして血行促進を図ります。

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ステップ2
親指の位置を意識し、変化をつけます。親指を外にして握り、そして開く。次に親指を中にして握り、そして開く。これをスムーズに繰り返しましょう。

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2018年2月28日 (水)

山火事が多い季節

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 2017年の全国の火災発生件数を月別に見ると、3月が最も多くなっています。また、その火災の中でも春先は山火事が多く発生する季節です。降水量が少なく、空気が乾燥しやすい上、山焼きなどの山の手入れが始まったり、山菜採りで山に入る人が増えたりするためです。
 1991年3月7日には、茨城県日立市で大規模な山火事が発生しました。その日は冬型の気圧配置が強まり、北西風が強く吹いていました。さらに、水戸市で最小湿度16%を記録するなど、空気はカラカラに乾燥していました。
 気象庁は、数日前からの湿度を考慮に入れて計算される「実効湿度」と当日の「最小湿度」を基に乾燥注意報を発表します。つまり、木材がどれくらい乾いていて燃えやすいかどうかが基準ということです。乾燥注意報が出ているときは、いつも以上に火の取り扱いに注意しましょう。

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