冬期限定、寒じめほうれんそう
岩手県の厳しい冬の寒さのなかで、90~120日かけてじっくりと育てられる「寒じめほうれんそう」は、甘くて味が濃いのが特徴です。あえて寒さにあてられたほうれん草は、寒さから身を守るため葉っぱを地面につけ、縮れます。水分をできるだけ外に出して凍らないように頑張ると、糖分やビタミンCがギュッと凝縮されるため、甘くて栄養たっぷり、味の濃い「寒じめほうれんそう」ができ上がります。
JA新いわて管内の久慈市で「寒じめほうれんそう」の栽培をする川平義明さんのハウスでは、収穫の真っ盛り。11月20日の出荷解禁日には、糖度が8度以上あることを確認して出荷を行います。寒くなるにつれ糖度は高くなり、13度くらいにもなるとのこと。
北東北のなかでも比較的雪が少なく、日照が多い立地を活かして、北部沿岸の久慈地方で栽培が盛んですが、今年は例年にない大雪に見舞われています。取材に訪れた日も雪が降りしきり、一面真っ白。ハウスも雪に埋もれています。
「春から秋は雨よけほうれんそう、冬は寒じめほうれんそうと一年中、ほうれんそうを栽培しています。冬の寒じめはおいしいからみんなに食べてもらいたいけど、栽培する方は一か八かの賭け。ハウスが雪でつぶれたらそれでひと冬はパァですからね」と川平さん。丹精こめて栽培したほうれんそうを全部諦めるしかないのです。
管内のほうれんそう栽培農家は600名いますが、寒じめほうれんそうを手掛けている農家はその内の220名です。
「好きでないとできない仕事です!」という川平さんの言葉がとても頼もしく、ありがたく感じられました。
冬期限定の「寒じめほうれんそう」の出荷は2月末まで続きます。どうぞお見逃しなくお楽しみください。