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2022年10月

2022年10月31日 (月)

バナナ

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美


バナナの加工に携わるバーナナ社のマット・クリフォード氏によれば、世界で年間約1500億本流通しているバナナのうち、およそ半分に当たる750億本が捨てられているそうです。要因の一つが、バナナのシュガースポットです。バナナは熟すと、皮が茶や黒に変色します。これを「シュガースポット」と呼びます。シュガースポットが出たバナナは甘味や香りが強く、抗酸化成分であるポリフェノールも増えています。見栄えが良くないという理由で値引きして売られますが、それでも売り切れずに残り、捨てられてしまうのです。
 私は野菜と果物のスムージーを2012年からほぼ毎朝作っています。スムージーの本の監修を依頼されたのがきっかけです。シュガースポットが出ていて半額に値引きされたバナナを買ってきて、しばらく部屋で熟成させます。そして、皮をむいて冷凍してスムージーに入れると、とてもおいしくなります。
 バナナが役に立つのは実だけではありません。私がJICA(国際協力機構)海外協力隊で活動していたフィリピンでは、バナナの葉っぱを食品包装やお皿の代わりに使っていました。例えばキャッサバという芋で作った、もちもちしておいしいキャッサバケーキは、バナナの葉にくるまれて市場で売られていました。
 バナナの茎を生かす試みもあります。ワンプラネット・カフェのエクベリ聡子さんとペオ・エクベリさんは、アフリカのザンビアで取れるバナナの茎を使い、日本の和紙の技術と組み合わせて、バナナペーパーを開発しました。一般的な紙だと木を伐採して作りますが、木は、いったん切ると、育つまでに何年もかかります。でも、バナナは1年で育ちますので、今まで捨てられていた、その茎を使うのです。バナナペーパーは、日本でも包装紙や表彰状などに使われているんですよ。

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図:バナナのシュガースポット(著者撮影)


食品ロス問題ジャーナリスト
井出 留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著作多数。

腕のつぼ刺激でたまった疲れをスッキリ!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄


 年末に向かってますます頑張りたい季節です。パソコンやスマートフォン(スマホ)の操作、重たい荷物を運ぶなど、知らず知らずのうちに手指、腕を酷使していませんか。ここで一度心身の調子を点検し、整えてガス欠を防ぎましょう。
 今回は、万能つぼ「手三里(てさんり)」を使った手指体操をご紹介します。首や肩の凝り、腰痛、背中の痛み、胃腸の不調、吹き出物やにきび肌、歯痛、眼痛、喉の痛みなどの緩和、さらには不安、落ち込みといった精神的な症状にもお勧めです。
 つぼの刺激と筋肉の動きは呼吸に合わせて行います。どこでもできる簡単な体操を通して、丁寧に自分の心と体に向き合う時間をつくり、年末に向かいましょう。


腕のつぼ刺激で呼吸を整える

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つぼ 手三里

手の甲側、肘を曲げたときにできる横じわから、親指側の骨に沿って手の方向に指3本分のところにあります。軽く押すとじんわりとした痛みを感じます。


基本の動き

(1)右肘を曲げて、左手でつかみます。左手の親指は右腕の内側に、中指は手三里に当たるようなポジションです。

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(2)手三里を押さえ、息を吐きながら右手のひらを半回転させ前へ向けます。

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(3)右腕を前へ伸ばして指先を開き、息を吐き切ります。息を吸いながら(1)に戻ります。3回行ったら左腕に替え同じ動きをします。

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ポイント
息は口から吐き、鼻から吸います。体操は呼吸に合わせ、1回につき20秒ほどかけてゆっくりと行います。