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2023年3月

2023年3月30日 (木)

成長著しくワクワク

気象予報士●檜山靖洋


 新年度となり、進学や就職、異動などで新生活が始まる人も多いのではないでしょうか。4月の思い出というと、私は新生活で緊張したことばかりが浮かんできます。でも、4月も終わりごろになると気候はとても良くなり、新年度の緊張感も取れて、ワクワクするような気分になります。
 4月5日は二十四節気の清明(せいめい)です。文字通り、空気は清らかに澄み渡り、日差しは日に日に力強く明るくなる季節です。4月20日は穀雨(こくう)です。穀物を成長させる雨が降る頃です。この時期は、決して雨が多いわけではありませんが、周期的に降る雨と暖かい晴れの天気が植物の成長を促します。4月の初めには小指の先ほどの大きさのイチョウの葉も、4月終わりには手のひらくらいの立派な葉になります。植物も新生活が始まった新人も成長が著しく、なんだか心がワクワクする季節です。

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気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。

大切なものは見慣れた風景の中に!

田んぼソムリエ●林 鷹央


 日本の風景といえば何を思い浮かべますか? 海外の人なら浮世絵の富士山や、日本をぐるりと取り巻いている海の風景かもしれません。でも、見慣れた日常生活の中で人々が日本らしさを感じるのは、四季折々の田んぼを中心とした「里山の風景」でしょう。春に田植えの準備が始まる頃、田んぼの周りでは小さな草花が咲き、虫も出てきて里山がにぎわい始めます。
 もともとはヨシに覆われた湿地を、先祖たちが田んぼに作り変えてきました。毎年手入れをしないとすぐにヨシが生えてしまうので、農作業を続けることで維持されている風景なのです。しかし最近は若い人たちが都会に出て行ってしまい、田んぼの手入れをする人が減ってしまいました。放置され荒れてやぶになったり、山の斜面や田んぼにメガソーラーパネルを設置してしまったりと「里山の風景」が失われてきています。
 世界の人口が増え続け、やがて食料や肥料などの資源の輸入は難しくなります。田んぼは日本人の主食である米を作ります。山には肥料になる落ち葉や、建築資材、薪炭材(しんたんざい=まきや炭などの燃料用として使用する木材)という資源が眠っています。森林の木々は田んぼに来る水を蓄えてくれています。私たちが見慣れた風景の中に、本当に大切なものがあります!


田植え前の棚田風景

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田んぼソムリエ
林 鷹央(はやし たかお)
三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。