2019年9月27日 (金)

「指先たたき体操」で脳の血流アップ!

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 手指の運動を繰り返し行うことによって、脳の血流はどんどんアップしていきます。脳の働きを拡充するばかりか、リフレッシュ効果もあります。
 単純な動きを繰り返すだけではなく、覚えた動きに変化をつけたり、動かす回数を変えたりすることで、脳の神経細胞の減少を防ぐことにつながります。
 今回の指先たたき体操は、左右の指と指をたたくだけのとてもシンプルなものです。たたく順番や速さ、回数を変えて行うと、脳にとっては違う運動を覚えることになります。気楽に実践できますので、ステップ1だけで終わらせず、ぜひステップ2まで行いましょう。


ステップ1とステップ2を併せて行いましょう

ステップ1

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(1)両手の指先を合わせて構えます。

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(2)親指の指先をトントンと10回たたきます。

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(3)次に人さし指の指先を10回たたきます。同様に他の指先同士も10回ずつたたいていきます。(1)~(3)の動きを3セット行います。


ステップ2

たたく回数や順番を自分で決めて繰り返したたきます。

ポイント
動作はリズミカルに!

2019年8月29日 (木)

煮物 (キッチン防災術)

食文化・料理研究家●坂本佳奈

 暑い時期に煮物というと、いつも驚かれるのですが、食べるときには冷やすか常温なので、熱くはありません。
 祖母はナスをたくさん収穫したら、煮物を作っていました。存命なら100歳を超える祖母が若かった頃は冷蔵庫などありませんでした。それでも夏はナスの煮物を食べていたそうです。
 ふたのできる鍋に、ナスをぎゅうぎゅうに入れて、昆布と、いりこを入れ、ナスの上がかぶるぐらいひたひたに水を入れて煮ます。鍋の大きさによって入れる水の量は変わります。直径20cmくらいの鍋で1・5Lぐらいでしょうか。そこに色が付くぐらいのしょうゆを入れ、ごくごく薄味になるように塩も入れます。煮詰まったら塩分が濃くなり、味も濃くなっていきます。そして一度グツグツと煮立ったら、弱火にして、ナスが軟らかくなるまで1時間ほど煮ます。
 作ったその日に食べられますが、次の日の方が味が染みておいしいです。ふたをして置いておき、次の朝また火を入れて10分ほど煮立てたら冷まして、その日の夜に冷やして食べます。1人でナスが二つ三つぺろりと食べられてしまう、夏から秋にかけての味覚です。朝に夕に、少し蒸し暑く心配なときは昼も、何度も煮返して火を入れることで、冷蔵庫がなくても食べられたそうです。油がないので冷蔵庫に入れてキリッと冷やしてもまた美味です。
 給食などは衛生上、基本的に即日調理、即日食べ切りですが、家庭では火を入れて持たせる昔ながらの食べ方はいかがでしょうか。ただし、とろみのある物、例えばカレーなどは冷えるのに時間がかかり、夏場は次の日に食べるのは食中毒の危険があります。煮物は透明だった汁が濁っていたり、酸味が出たら腐っているので食べてはいけません。煮汁がさらっとしている物なら煮返すことで長持ちします。昔の暮らしを思い出して、体験してみるのも「防災」の体験になります。

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季節の変わり目も健やかに

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 手首の曲がる部分には、内側と外側にそれぞれ3カ所ずつの重要なつぼがあります。内側のつぼは呼吸器系、外側のつぼは内臓や消化器系と関係が深いといわれています。これら六つのつぼに同時に刺激を与える体操で、季節の変わり目の不調に備えましょう。
 正確につぼの位置を探す必要はありません。反対側の指で手首の曲がる部分を押さえるだけでOKです。つぼを押さえた状態で手首を返せば、さらにつぼに刺激が入ります。このとき、押さえる指に力を入れ過ぎないことがポイント。手首が動かせる程度に力の加減を調整しましょう。
 まだ暑さが残る時期。夏の疲れが出やすく、不調が起こりやすい時期でもあります。不調や痛みが起こる前に手首体操をマスターして、日々続けるとより効果的です。


手首のつぼを押す

ステップ1

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(1)右手首の内側は左手の親指で、外側は人さし指で押さえます。手首の力を抜いてリラックスさせます。そのまま15秒間、右手首を上下に優しく振り、手首のつぼを刺激します。同様に左の手でも行います。


ステップ2

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(2)右手首全体を左の手指で押さえた状態で、右のこぶしを握ります。鼻からゆっくり息を吸います。

(3)ゆっくり息を吐きながら指先と腕を伸ばします。そして息を吸いながら指を握り、(2)に戻り、5回往復します。同様に左手首でも行います

2019年7月30日 (火)

予防したい熱中症

健康科学アドバイザー●福田千晶

 暑い夏に予防したい熱中症。特に屋外での作業中には気を付けたいですが、家の中でも熱中症になる人が多いので要注意です。
 人の体は、暑さなどで体温が上がりそうになると汗をかきます。汗は皮膚の上に水分が出て、その水分が蒸発するときに、体の熱を奪って適度に冷やしてくれます。ところが、体内の水分が不足して、汗が十分に出なかったり、疲れやストレスで発汗や体温の調節機能が低下して汗がうまくかけなかったりと、こうした要因で体温が上がってしまうと、熱中症になります。
 暑い環境で過ごすときは、十分な水分と塩分などのミネラルを取っておくことが大切です。汗で徐々に水分が失われるので、水分は小まめに取っておくことが望ましいです。適度な塩分や水分の吸収を速やかにする糖分を含む経口補水液も用意しておきたいものです。屋外での作業や運動には、スポーツドリンクを持参するのもお勧めです。
 朝ご飯を食べることも熱中症予防に大事です。食事では、エネルギー、塩分などのミネラル、食事に含まれる水分などを取っています。朝食を抜いてしまうと十分な水分やミネラル、エネルギーが補給しにくく、暑い環境での作業は無理があります。
 アルコールは液体ですが、水分補給にはなりません。アルコール飲料やカフェイン飲料には利尿作用があり、飲むことでトイレの回数が増えます。ですから、アルコールの飲み過ぎなど状況によっては脱水を進行させてしまいます。
 屋外の作業中も休憩時間中は日陰で風通しの良い涼しい場所で休みましょう。室内でも暑い日はクーラーで室温を下げるように心掛けましょう。室温の好みは個人差がありますが、熱帯夜になる地域では夜間もクーラーを使用して室内温度は28度以下の設定が良いでしょう。睡眠もしっかり取って、疲れをためないことも熱中症予防には有効です。

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指先のつぼ刺激で夏冷えを防ぐ

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 指には全身の健康に密接に関係するつぼが集中しています。爪の付け根にあるつぼを総称して「井穴(せいけつ)」といい、東洋医学では自律神経のバランスを整えるポイントと考えられています。
 熱中症対策などの観点から、暑い時期は小まめな水分補給はとても大事です。しかし、冷えた飲み物ばかり飲んだり、冷房の効いた室内で長時間過ごしたりすることは、体を冷やし不調を引き起こす原因にもなります。つぼの刺激で自律神経の働きを整えて、巡りを良くして水分の偏りを改善させましょう。
 この体操は電車の中や外出先でも簡単にできます。ぜひ習慣にして、元気に夏を乗り切りましょう。

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井穴(せいけつ)


指先のつぼをもみほぐす

ステップ1

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(1)右の親指と人さし指で、左の指の爪の生え際付近を押さえて10秒ほどもみほぐします。5本の指、どの指から行っても問題ありません(以下同様)。

(2)右の親指で、左の指の爪を上から押さえるように10秒ほどもみほぐします。

ステップ2

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(3)右の指を曲げて人さし指と中指で、左の指先の第1関節あたりをしっかり挟みます。

(4)しっかり挟んだまま、左右にキュッと引っ張って指を離します。(1)から(4)の動きを反対の指5本に同様に行います。

2019年6月27日 (木)

好みのトマトを探して

食育インストラクター●岡村麻純

 私の家族はとにかくトマトが大好きです。一年中食卓にトマトが並ばない日はありません。たとえその日がお鍋であろうと、トマト煮込みであろうと、カットトマトは必ず出すのが習慣です。トマトはそのままが一番おいしいと言って、サラダに混ぜることすら嫌がります。結果、毎食サラダとカットトマトがそれぞれで登場します。
 実はトマトには昆布だしと同じうま味成分であるグルタミン酸が含まれています。欧州では古くから、日本のおだしのようにトマトが調味料として使われてきました。それを思うと本当にトマトはそのままで十分なのかもしれません。
 さらに最近ではトマトの種類が増え、たくさんの味が楽しめます。その中でも糖度8度以上のフルーツトマトはたくさん見掛けるようになりました。日本のトマトで最も一般的な桃太郎系の糖度が5・8度ほどだそうなので、それ以上に甘く、まさにフルーツのようなトマトです。また、酸味のある種の周りのゼリー状の部分を少なくし、甘味を強く感じられる品種も出ています。とにかく甘くなるトマト、これからは、トマトは野菜ではなく果物のような存在になっていくのかもしれません。
 切るだけで人気の一品になってくれる優秀なトマトですが、栄養も豊富。ビタミンCやカリウムも多く含み、赤い色を作っているリコピンは抗酸化作用があるため、がんの予防効果もあるとされています。
 甘いトマトが増えている今日ですが、実はわが家ではその流れとは逆に酸味の強いトマトが人気です。完熟手前のファーストトマトが好きですし、2歳の娘はトマトの種の周りのゼリー状の部分が好きです。このトマトの種の周りの部分、酸味はありますが、栄養も豊富。ならば、ゼリー状の部分がたくさん含まれるトマトを探してあげたい。そこで好みのトマトを探して八百屋さん巡りをしています。トマトが旬の夏はわくわくする季節です。

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岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。
公式ブログ:http://ameblo.jp/masumiokamura/

指の間とんとんたたき

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 水分不足により夏バテしやすい時期です。気力も落ちやすいので、元気をキープしたいところ。暑い時期にぴったりのつぼ刺激を意識した体操をご紹介します。
 指と指の間のつぼは両手を合わせて8カ所あり、まとめて八邪(はちじゃ)と呼ばれています。八邪は東洋医学では健康に良くない気が滞りやすい場所と考えられており、つぼに刺激を与えることで邪の気を解消していきます。やる気が出ないときや眠気を覚ましたいときにも効果的。簡単なので、起き抜けやパソコン作業中、あるいはおしゃべりしながらなど、気付いたときにやってみると良いですね。
 たたき方は力を入れ過ぎず軽い感じでOKです。速さやたたく回数に変化をつけるのもお勧めです。


軽くリズミカルにとんとんたたく

ステップ1
POINT このとき左右両方の腕を動かします。

(1)左右の手の親指と人さし指の間同士をとんとんと軽くたたき合わせます。1秒1~2回程度のペースで、20回繰り返しましょう。

(2)同様に人さし指と中指の間同士、中指と薬指の間同士、薬指と小指の間同士をたたき合わせていきます。

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ステップ2

(3)手の上下を変えた動きを加えます。(1)の体操を行った後、手を入れ替えて親指と人さし指の間同士をたたきます。

(4)同様に人さし指と中指の間同士、中指と薬指の間同士、薬指と小指の間同士もそれぞれ手を返し同じ体操を繰り返します。

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2019年5月30日 (木)

梅雨お薦め!  米酢のパワー

管理栄養士・フードスタイリスト●大槻万須美

 米酢はお米を主原料として造られるお酢です。本来の製法では、蒸し米にこうじ菌と酵母を加えて発酵させ、お米のでんぷんをアルコールへと変化させた後、酢酸菌を混ぜてアルコールを酢酸へとさらに変化させ、熟成期間を経て造られるため、大変手間がかかります。
 アルコールを酢酸発酵させて造られるお酢の材料は、お米の他に小麦やトウモロコシなどの穀物、リンゴやブドウといった果汁など、醸造酒の原料となる糖分があれば基本的に何でも主原料となり得ます。
 数あるお酢の中でも、米酢はお米の甘味とうま味が生きた風味のあるお酢です。お米を主原料としているので和食との相性が良いとされており、酢飯に使うすし酢、酢の物の合わせ酢、煮物の隠し味などに向いているといわれます。お米が主食の私たちにはおなじみのお酢ですね。
 米酢をはじめとしたお酢に、健康維持につながるといわれる作用があるのはご存じの通りです。そんなお酢の主なパワーをご紹介します。
・抗菌作用
 お酢は食中毒予防に役立ちます。季節の変わり目など体力が落ちているとき、雑菌が繁殖しやすい梅雨の時期や気温上昇期などには積極的に利用しましょう。
・食欲増進効果
 酸味が唾液の分泌を促進し、消化吸収を助けます。食欲が低下して栄養のバランスが崩れがちな梅雨の季節にぜひ取り入れたいですね。
・減塩効果
 お酢の酸味で塩分をカットでき、血圧が気になる方の強い味方となります。減塩を意識して、しょうゆや塩の代わりにお酢の力を借りましょう。仕上げの調味には特に香りの高い米酢がお薦めです。
 梅雨の時期には米酢のパワーが役立つ機会が多くなります。米酢を食生活に取り入れて、梅雨の時期を健康的に乗り切りましょう!

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大槻 万須美(おおつき ますみ) 楽しく食べて健康に。食の大切さを正しく伝えるため、ママと乳幼児のための料理教室やアスリートの食事指導、特定保健指導など幅広く活動。

長方形をつくってグーパー体操

健康生活研究所所長●堤 喜久雄

 グーパーの動きを取り入れた体操を前回、前々回とご紹介し、今回は最終回です。左右の親指と人さし指で長方形をつくる体操で、応用編としてグーパーを取り入れていきます。指できれいな長方形をつくるには、手首や腕をしっかり動かす必要があります。家族や友人、職場の同僚などに見せて、長方形ができているかチェックしてもらうといいですね。一緒にやってみるのもお勧めです。
 グーパーの動きは、手指体操の中でも取り入れやすく、応用の幅の広い動きです。リズム良く交互に入れ替えることで脳に刺激を与える他、体のいろいろな場所を使うので血行促進にも役立ちます。座った姿勢、寝た姿勢、あるいはどんな姿勢でもできるグーパー体操があり、さまざまなシーンでも活用できることをお伝えしてきました。自分に合ったものを見つけ、毎日の習慣としてください。


指をしっかり伸ばして長方形をつくる

ステップ1 (1)と(2)を1セットとして、1秒1回のペースで15回繰り返しましょう。

(1)左右の親指と人さし指を真っすぐに伸ばし、直角にします。指先を合わせて横長の長方形をつくります。

(2)いったん指先を離し、手の向きを変えて(1)と逆の向きで長方形をつくります。両肘がしっかり動いているか意識しましょう。

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ステップ2 (3)(4)の動きを15回繰り返します。

(3)ステップ1にグーパーを加えます。右手を上にして長方形をつくり、右手の指を開きパーにします。下の左手は親指と人さし指以外の指をグーに。

(4)いったん指を離し、(3)とは逆の向きで横長の長方形をつくります。上の左手をパー、下の右手をグーにします。

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2019年4月23日 (火)

竜巻への注意

気象予報士(株式会社ハレックス)●檜山靖洋

 2012年5月6日、茨城県で竜巻が発生し、大きな被害が出ました。国内で観測された竜巻の中では最強クラスといえる竜巻でした。
 竜巻は夏に多いですが、年中発生します。5月になると日差しが強く、気温が高くなる日もあります。上空に寒気が入っているときに地面付近で気温が上がると、温度差により積乱雲が発達します。発達した積乱雲の下では、大雨、ひょう、落雷、竜巻などの激しい突風が発生することがあります。
 雷注意報が出ているときは、竜巻などの突風も発生する可能性があるといえます。竜巻が起こりやすい条件がさらにそろうと、竜巻注意情報が発表されます。この情報の発表から1時間くらいは注意が必要です。特にヒヤっとした風が吹いたり、真っ黒な雲が近づいてきたりしたら、積乱雲が近づいているサインです。すぐに頑丈な建物の中に入るようにしてください。

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